へっぽこVSシリーズ第2弾「サイゾーVSデューテ」(前編)
ここはリゲルの森。
その森で、闇にまぎれて動く影がある・・・。
「・・・私は、生きて・・いるのか?」
前回シルクにボコボコ(オイオイ)にされたサイゾーである。
「しかし私の技がまるで通用しないとは・・・。」
「聖女がアレではアルム軍は驚異的な戦闘集団ということになるではないか。」
ハイ、そーです。
少なくともウチのアルム軍はそーゆー連中でした。(笑)
「・・・まぁ、過ぎたことを考えても仕方あるまい。今後のことを考えるべきであろうな。」
(・・・しかしどうしたものか。任務を遂行できなかった今、もはやリゲル軍に戻ることはかなわぬ。)
(しかし、忍といえど帰るべき場所は必要だ。ただの野党に成り下がることは許されぬ。)
(そう言えば、部下の者たちはどうなったのであろう?)
(アルム軍は無益な殺生を好むわけではあるまい。生き残った者もいるのではないか?)
といったことをサイゾーが考えていると・・・
「隊長! 無事だったのですね!」
と数人の男が現れた。サイゾーの部下である。
「おお、お前たち、無事だったのか!」
「はい。アルム軍は逃げる者を追うことが無かったゆえ。」
「しかし、本来逃げることを許されぬのが忍の掟。我ら以外の者は・・・。」
「そうか・・・。だがおぬし達だけでも生きていてくれて嬉しく思うぞ。」
こうして生き残った部下と合流したサイゾー。彼らの行く先は・・・。
--一方、アルム軍の陣営--
話は少しさかのぼる・・・。
アルム軍がサイゾー軍に勝利し、本陣へ帰ってきた直後のことである。
「リカバー!」
「ありがとう。シルクさん。」
「突撃したくなるのもわかるけど、やっぱり無理しちゃダメよ。」
と、そこにアルムが現れて
「グレイ、相変わらずだね。また大将のところに1人で突っ込んだんだって?」
「うーん、頭で解っててもつい身体が先に動いちまうんだよな。」
「ま、無事で良かったよ。次からその経験を生かしていけばいいさ。」
「もうすぐ魔戦士の称号がもらえるからな。期待しててくれよ!」
「うん、期待してるよ。」
と、そこへ血相を変えて飛び込んできた人物がいた。
デューテの兄、リュートである。
「アルム! デューテを見なかったか?」
「いや、見てないよ。・・・まさか、何かあったの!?」
「それが、半日ほど前から姿が見えないんだ! それと、リゲルの森に入っていく人影をパイソンが見たって・・・。」
「!! なんだって?」
「妹はこの辺りの地理には詳しくない。急がないと大変なことになるかもしれない。」
「わかった。元気な者は探索にあたってもらおう。」
「グレイ,シルク、元気な者はデューテの探索にあたるように皆に伝えてくれ。 僕達は先に探しに行く!」
「ああ、わかったぜ。」
「わかったわ。私も伝言が終わってから行くわね。」
「頼んだよ!」
・・・ということでリゲルの森に入ったアルムとリュート。
「すまない、アルム。妹がこんなことになってしまって。」
「しかし、なんだってデューテは1人で森に入ったのさ?」
「妹はあんたのこと慕ってるからな。多分アルムの役に立ちたかったんじゃないか? 今回出撃させなかっただろ?」
「デューテにはまだ実戦は早いと思ったんだ・・・。まさか逆効果になるとはね・・・。」
「過ぎたことを言っても始まらない。大事に至る前に見つけるしかないさ。」
・・・と、このような会話をしていた。
実は、事の真相は全く別のところにあったのだが・・・。
--話は再びサイゾーへもどって--
「隊長、これからどうしましょう?」
「もはやリゲルに戻ることはかなうまい。新しい我らの居場所を探さねばなるまいな・・・。」
「しかし、新しい居場所といっても・・・。」
「もはや我らは自由の身。焦ることはあるまい。今日はとりあえず森の見張り小屋で暖を取ることにしよう。」
「わかりました!」
そして見張り小屋に近づいたサイゾーたち。
だが、まずサイゾーが異変に気づき、次いで部下もその異変に気がついた。
「これは・・・死臭! しかもモンスターのものだ。」
「隊長、どういうことでしょう?」
「アルム軍と戦っていた時にはモンスターなどいなかった。」
「しかし、まさかこんな場所にまでモンスターが・・・。」
「どのみち避けては通れまい・・・。行くぞ!」
「ハッ!」
そこは見張り小屋の片隅。そこに、一体のガーゴイルが横たわっていた。
不思議なことに争った形跡は無く、ガーゴイルの死体にも外傷は見られなかった。
「・・・妙ですね? ガーゴイルと戦ったのにその形跡が残っていないとは。」
「ふむ、一瞬で身体の内部だけ焼き尽くされたような感じだ。これは魔法による技であろう。」
「では、近くに魔道士が?」
「可能性はある。それもかなりの腕の持ち主だな。標的だけを狙い、周囲には全く影響が出ておらぬ。」
「皆、用心した方が良いぞ。気を抜くな!」
「ハッ!」
そして、小屋に入ったサイゾーたち。
だが、誰もいないはずの小屋に人の気配がするのである・・・。
「そこにいるのは誰だ!」
とサイゾー。だが、そこにいた人物は・・・
「・・・ZZZ」
と、小さな寝息をたてて寝ている少女だった。
「・・・・・・。」
さすがのサイゾーも困惑気味である。
「あの・・・、隊長?」
「・・・ああ、すまん。すこし面食らってしまってな。」
「・・・何者でしょうか?」
「わからぬ。だが、この服装はリゲルの者ではない。おそらく・・・。」
「! アルム軍の者だと?」
「他に考えようがあるまい。」
と、急に部下の1人が身につけていた剣を抜き、
「おのれ、死んでいったものの仇!」
少女に切りかかろうとする。
だが、
「やめぬか!」
とサイゾー。
切りかかろうとした部下の動きが止まる。
「隊長?」
「もう我らはリゲルと関係ない。無益な殺生はするものではないぞ。」
「ですが・・・」
「くどい! ならぬと言ったらならぬ!」
「・・・ハッ!」
「?」
不思議なことに、サイゾーは不意に強烈な既視感を感じた。
(はて? 以前にもこのような事があったのだろうか?)
「ですが、この者はいかがいたしましょう?」
「おそらくアルム軍もいないことに気づいて探しているだろう。」
「ここを見つけるのにそう時間はかかるまい。」
「それまで保護する・・・ということですか?」
「うむ。」
「・・・見張りが必要ですね。」
「そうだな・・・私が付いておくから、皆は休んで良いぞ。」
「いえ、隊長も疲れているでしょう。ここは我らが引き受けます。」
「大丈夫だ。・・・それに、少し1人で考えたいこともあるのでな。」
「・・・」
「ん、どうした? 何かあるのか?」
「あ、いえ。解りました。先に休ませていただきます。」
そして、サイゾーは1人で先ほどの既視感について考え始めた・・・。
(何故だ? 私は人を助けた事など無いはず・・・)
(忍は非情でなければならぬ。リゲル軍を去った今はともかく、軍にいたころは常に向き合った相手は殺してきたのだ。)
(・・・あるいはリゲル軍に参加する以前のことなのであろうか?)
(単に気のせいという事も考えられるが・・・)
(それにしても、部下たちがこの少女を目の仇にしているのが問題だ。)
(何事も起こらなければ良いのだが・・・)
「?」
不意に何かの異臭を嗅いだ気がした。
「これは・・・! 眠り薬!」
だが、気が付いたときには遅かった。サイゾーはすでに深い眠りに入ろうとしていた。
(まずい! これが部下の仕業だとすれば少女の命が・・・)
と考えるのが精一杯であった。
----------
サイゾーの助けた少女は何者なのか?(ってバレバレだけどね)
さらに少女は無事に生き残れるのか?
なぜデューテは1人でリゲルの森にはいってしまったのか?
そして、サイゾーの感じた既視感の正体は・・・。
何よりも、『サイゾーVSデューテ』はどうなったのか?(爆)
様々な謎を残し、『後半へ続く!』<--ここだけ某アニメ風に読みましょう。
<製作後記>
※この色の文は作者ツッコミです。(今回は1個だけ・・・)
いやはや、なんか異様に長くなってます。(^^;
まさか前後編になるほど長い話になるとは・・・。
(へたすりゃ前中後になる可能性もアリ)
ちなみに、謎の複線みたいなものはあまり無いので(オイ!)、後半の先読みはやめた方がいいです。
次を期待しましょう。