へっぽこVSシリーズ第4弾「サイゾーVSデューテ」(後編)
ピンポンパンポーン。
「あなたが使おうとした前振りは、現在、使用が認められておりません。」
--回想モードその2--
※前回に引き続きサイゾーが2人います。サイゾー(幽霊)とサイゾーで区別して読んでください。
「(幽霊)」が無ければ過去のサイゾーということです。
気が付くと、サイゾー(幽霊)は再び見覚えのある場所にいた。
ただし、今度の場所は森ではなかった。
(ここは・・・リゲルの村か。懐かしいな・・・。)
と、また例の声が聞こえてきた。
(ここは、あなたが少女と出会ってから2年後の世界・・・)
(ここで、あなたは邪悪なる者と出会い、自身の運命を歪められることになります・・・)
(見極めるのです! あなたの運命を歪めた者の正体を!)
そして、声は聞こえなくなってしまった。
(邪悪なる者、か。ここまできたらとことん付き合うさ。)
(・・・とりあえず「自分」を探さないとな。この村のどこかにいるはずだ。)
と、探索を始めようとしたサイゾー(幽霊)だったが、その必要はなかった。
サイゾーとデューテが自分のいる方向に歩いてくるのが見えたからである。
「お兄ちゃん、今日のゴハンは何なの?」
「ふふっ、喜べ。今日はデューテの大好物だ。」
「私の大好物? ・・・あっ、『エビフライ』だね!」
「そうさ。久しぶりのご馳走だぞ。」
「うわーい。やったね!」
というように、とりとめのない会話をしながら歩いていた。
どうやら家に帰る途中のようである。
その姿はまさに本物の兄妹のようで、実に幸せそうな2人であった。
(平和だ・・・。私にも、このような幸せな時間があったのだな・・・)
(!?)
だが、その2人を射抜くような視線があることにサイゾー(幽霊)は気づいた。
一瞬、サイゾーの体が強張る。どうやらサイゾーもその視線に気がついたようだ。
もっとも、デューテだけはそれに気づく様子もなく、無邪気にはしゃいでいたのだが・・・。
(な、なんだ? このどす黒い邪悪な視線は・・・)
(まさか、これが『邪悪なる者』なのか?)
だが、デューテに心配を掛けまいとしているのか、サイゾーは何事も無いふりをして歩いていく。
そして、そのまま2人は家に入ってしまった。
サイゾー(幽霊)も後を追って入り込む。
「ふーっ、お帰りなさい、だな」
「うん、お帰りなさい。だね!」
「じゃ、早速ゴハンの準備をしようか。」
「デューテも手伝うね。」
・・・と、2人は食事の用意を始めた。
だが、サイゾーは先ほどの視線が気になるのだろう。警戒を全く解いていない。
しかし、サイゾーの心配とは裏腹に何事も無く時間は過ぎて行く・・・。
(ふむ、今日は仕掛けて来ないつもりであろうか?)
そんなこんなで、いつのまにか食事の用意も終わった。
「いただきまーす!」
「いただきます。」
「モグモグ・・・やっぱり『エビフライ』は美味しいねっ!」
「ふふっ、デューテが喜んでくれるとお兄ちゃんも嬉しいよ。」
「・・・うーん、今日はちょっと新しい味に挑戦してみようかな。」
といってデューテは『からし』に手を伸ばしたのだが・・・。
「エビフライにからしを入れるな!」
「わっ。・・・お兄ちゃん、どうしたの? 急に叫んだりして・・・。」
「いや・・・、どうも作者が一瞬だけ体を乗っ取ったらしい・・・。」
「作者? 乗っ取った?」
「いや、気にしないでいいよ。さ、食事を続けよう。」
「・・・うん。」
・・・
そして、夜も更けて、2人が眠りについたころ・・・。
サイゾーは悪意を持った気配を感じ取り、素早く目を覚ました。
サイゾー(幽霊)も同じ気配を感じ、周囲を警戒し始めた。
(これは!? ・・・さっきの視線と同じ!)
サイゾーは素早く剣を取り、デューテを起こさないように静かに、かつ素早く家を出た。
サイゾー(幽霊)もあとに続く。
「・・・そこに誰かいるのはわかっている。・・・出て来い!」
「ほう、流石ですな。並の実力では気付けぬ程度の気配しか出さなかったというのに。」
と、1人の男が現れた。
全身を覆うローブと手に持った水晶・・・どうやら魔法使いのようである。
(? この男・・・どこかで見たことがあるような・・・)
「・・・何が目的だ?」
「あなたと、あなたの連れている例の少女・・・両方ですよ。」
「答えになっていないと思うが?」
「別に言う必要はないでしょう。あなた達は、私から逃れることなどできませんから。」
「言ってくれる・・・。だが、私も今の生活が気に入っているのでな。」
「おとなしく従う気は無い、と言うことですな。」
「当たり前だ。」
「のクラッカー。」
こけ。
(こ、この男・・・いろんなイミであなどれんな・・・)
「まぁ、冗談はここまでにしましょうか。」
「・・・い、いいだろう。」
と、にらみ合いが始まった。
しばらくそのままの状態であったが・・・サイゾーが先に仕掛けた。
だが、サイゾーの剣は男に届く前に弾かれてしまう。
「チッ、魔法の障壁か。」
「そう簡単には壊せませんよ。」
しばらくその障壁に斬りかかっていたサイゾーだが、不意に攻撃をやめて間合いを取った。
(? 何をする気だ?)
サイゾーは剣を構えながら男を睨んでいる。
一方、男は障壁が壊れないと踏んでいるのだろう。余裕の表情である。
「・・・ハッ!」
サイゾーが斬りかかる。
パリーン。
障壁に阻まれるかと思われたその攻撃は、意外にも障壁を突き破り、男の腕に突き刺さった。
「ぬぅ・・・ばかな・・・。」
「ふん、さっきでたらめに攻撃してた理由がわかったかい?」
「・・・なるほど。障壁の継ぎ目の位置を図っていたと言うわけか・・・。」
「ご名答。」
そのままサイゾーは男にたたみかけようとしたが・・・
「ふははは・・・はははははは!」
と男が笑い出したため、驚いて手が止まってしまった。
そして、男の口調がそれまでの丁寧なものから一転、高圧的なものに変化した。
「流石。あの男・・・サスケの息子なだけはある。」
「!? 貴様・・・なぜ父の名を・・・」
「当然だ。あの男を殺したのは、この私なのだから。」
「な!?」
「あの男は高潔すぎたのだよ。私の邪魔さえしなければ、死ぬこともなかったのに。」
「父上・・・」
「どうする? 父の仇として私を殺すか? もっとも、おまえには無理だがな。」
「貴様・・・貴様ぁーっ!」
怒りに身を任せ、闇雲に斬りつけるサイゾー。
だが、その刃は男の障壁に阻まれ届かない。
「ふん、遊びは終わりだ。ケリをつけてやる。」
そう言うと男はなにやら詠唱を始めた。
「我が血の盟約により命ずる」
「万物に眠りし闇の力よ」
「我が声に応え我が身へと集え」
「暗き闇は魔性の姿へと形を変え」
「我に歯向かう者に絶対の死を与えん」
周囲に不気味な闇がたちこめ、男の周囲へと収束する・・・。
(な、なんだ? この邪悪な気配は)
「!?」
サイゾーも同じものを感じ取ったのだろう。
素早く間合いを開け、男の攻撃に備えようとした。
だが・・・、
「お兄ちゃん?」
と言ってデューテが家の扉を開けたのだ。
おそらくサイゾーと男のやりとりで目を覚ましてしまったのだろう。
そして、サイゾーの注意が一瞬、デューテに向いてしまう。
結果として、これが命取りになった。
「メデューサ!」
「! しまった。」
だが、気付いたときには遅かった。
サイゾーは男の呼び出した闇に飲み込まれてしまったのだ。
「きゃあーっ!? お兄ちゃん!」
「・・・見つけたぞ・・・ミロアの娘・・・。」
「お兄ちゃんに何をしたの!」
だが、男は何も言わずにデューテに近づき、額に手をあてた。
するとデューテの体からフッと力が抜け、そのまま気を失ってしまう。
「この男は、少し記憶を操作してやれば優秀な人材としてリゲルのために働いてくれよう。」
「この女は、・・・そうだな、タタラに預けてやれば面白そうだ。」
(そうか・・・そう言うことだったのか・・・。)
その時である。
不意にサイゾー(幽霊)の体が歪み、激しい耳鳴りが起こった。
(な、なんだ?)
すると、あの声が聞こえてきた。
(ごめんなさい! ヌイババに見つかってしまったわ。)
(これ以上は接続を維持できないの。)
と言うが早いか、サイゾーの意識は遠くなり・・・。
--話はようやく見張り小屋に戻る--
「・・・お兄ちゃん・・・サイゾーお兄ちゃん!」
「う、うーん。」
「あっ、気がついた。デューテが話した途端に気を失っちゃったから心配したよ。」
「・・・デューテ・・なの・・か?」
「うん!」
「そうか・・・元気だったか?」
「うーん・・・。あのね、デューテはタタラっていう悪い妖術士に操られてたんだって。」
(タタラ・・・さっきの記憶の中にその名前があったな・・・。)
「でも、リュートお兄ちゃんやアルムお兄ちゃん達のおかげで助かったんだ。」
「そうか。良かったな。デューテ。本当に・・・良かったな。」
--さらに、話は少しもどってアルム軍へ--
デューテが発動した魔法「オーラ」の光はアルム達にもはっきり見て取ることができた。
「! あれはデューテの・・・」
「リュート、あの光の場所に行こう!」
「くそっ! デューテ、無事でいてくれよ!」
「あら、デューテったら、派手にやってるわねぇ。」
「グレイ、行くわよ」
「ええ、シルクさん。いつでもOKですよ。」
「ワープ!」
--さらに話はサイゾーに戻る--
「お兄ちゃんはこれからどうするの?」
「今のところ、特に行く当ては無いんだが・・・」
「・・・ねぇ、サイゾーお兄ちゃん。デューテと一緒にアルムお兄ちゃんの軍に入らない?」
「!? 何を言い出すんだい、デューテ?」
「だって、お兄ちゃん行くところが無いんでしょ? だったらデューテ、一緒にいて欲しいなぁ。」
(アルム軍か・・・確かに一つの選択肢ではあるな)
(アルム軍はこのままヌイババ館に向かうだろう。それに便乗するのも悪くない。)
(それに、ヌイババの護衛部隊は強敵だ。私1人で行っても勝てる見こみは薄い・・・。)
(だが、つい先ほど戦闘した部隊の隊長をすんなり受け入れてくれるかどうか・・・。)
と、サイゾーはあれこれ考えていた。
そこに空間の歪みが発生し、サイゾーの見知った2人の人物が現れる・・・。
「あら? 生きてたのね。意外だわ。」
※ちなみに、サイゾーはHP36の魔防15なので魔力40のエンジェルでは死にません。(笑)
「げっ、お前は・・・。」
シルクは一度勝っている余裕からだろう。
サイゾーに対して全く取り乱す様子が無い。
さらに、傷だらけのデューテを見たグレイが
「てめぇ! デューテに何しやがった?」
「私は何もしていないし、する気も無い。傷をつけたのは私の部下だ。」
「部下ぁ?」
「その辺でくたばっている愚か者のことだ。」
「・・・けっ、自分の部下の割にはえらく冷ややかだな。」
「まぁ、いろいろあったのでな・・・。」
と、そこに今度はアルムとリュートが現れた。
「デューテ!? 大丈夫だったか?」
「あっ、お兄ちゃん。うん、大丈夫だよ。」
「大丈夫って・・・傷だらけじゃないか。全然大丈夫じゃないって。」
つづいて、サイゾーを見たアルムが、
「・・・? あなたは?」
「私はサイゾー。・・・リゲルの森の警備隊長だ。いや、『だった』と言うべきか。」
「!? なぜ、こんなところに?」
「戦闘に負けて、適当にうろついていた所でそこの少女・・・デューテを偶然保護した、というところかな。」
「・・・変ですね。グレイの話では、あなたはもっと冷血な人だと思ったのですが。」
「それは、アルム軍であれば問答無用で切り捨てる、ということかな?」
「!? てめぇ!」
「待って、リュート。」
「確かに、記憶を取り戻す前の私ならそうしていただろうな。・・・ま、今の私にそのつもりは全くないが。」
「記憶? ・・・何か訳ありのようですね。」
といったやり取りの中、急にデューテの能天気な一言が聞こえた。
「ねぇ、アルムお兄ちゃん。サイゾーお兄ちゃんも仲間にしてあげない?」
「!? おいおいデューテ。こいつはついさっきまで敵だった男だぜ。」
とグレイ。
「でも、私が知っている時の男とは気配が違いますわ。本当に何か訳ありなのでは?」
とこれはシルク。
「だが、妹を傷つけたのがそいつじゃないという保証はないぜ?」
これはリュートである。
「・・・とりあえず話を聞いてあげてもいいと思う。」
「その後のことは聞いてから決めればいいんじゃないか?」
「ま、それが妥当でしょうね。」
「サイゾーさん、それでいいですか?」
(・・・まぁ、ここまできたら乗りかかった船か。)
「いいだろう。」
「ただ、あなたの処分が決まるまでは捕虜として扱わせてもらいますけど・・・」
「ああ、かまわない。そうしなければ軍に示しがつかないだろうしな。」
そして、一行はアルム軍の本陣に向かうのであった・・・。
--アルム軍の本陣にて--
そこは本陣の会議場所。
そこでサイゾーは自分の身に起こったことを説明していた。
メンバーはアルム,サイゾー,デューテ,リュート,シルクの5人である。
※ただ、デューテは疲れちゃったので既に寝てます。(ぉ
「・・・とまぁこんなところだな。」
「・・・なんだか不思議な話ですね。」
「そうだな。私もまだちょっと混乱している感じだ。」
「・・・ねぇ、シルク。聖女の魔法にそういう『記憶を見せる』っていうものはあるの?」
「いえ、聞いたことがありませんね。」
「リュートは?」
「うーん、オレも聞いたことがないな。」
「そっかあ・・・。そのティータって人、何者なんだろうね。」
「わからん。だが、私が声を聞いた限りでは、悪い人間ではないと思う。」
「おそらく、何らかの理由でヌイババの館に捕らえられているのだろう。」
「で、サイゾーは、そのヌイババを自分の手で倒したいんだろう?」
「当然だ。・・・父上の・・仇だからな。」
「勝算は?」
「どうだろうな。だが、このままでは腹の虫が収まらぬ。」
「だが、1人で行くのはムチャだぜ。」
「そうそう、グレイがあなたのところに1人で突っ込んだのがいい例ね。」
「・・・。」
「うん、わかりました!」
「あなたをアルム軍の一員として歓迎しましょう。」
「! 本当に良いのか? ・・・かたじけない。」
「気にすることはありませんよ。あなたはただ操られていただけなんですから。」
これはアルム。
「そうそう。これまでの分は、これから返してくれればいいさ。」
これはリュート。
「ま、私の足手まといにならないでくださいね。」
と、これはシルクである。
(不思議なものだ。)
(リゲルの忍として、リゲルを守るために育った私が、リゲルに刃を向けることになろうとはな。)
(だが、これも一つの運命。運命に流されるまま生きるも一つの道であろう。)
こうして、サイゾーはアルム軍の一員として迎えられることとなる。
はたして、彼の行く先は・・・。
「待てイ!」
「うおっ、お前らは『名前を間違えやすい敵キャラNO.1』のダッハとガッハ!」
「無意味に詳しい説明をありがとう。・・・じゃなーい!」
「おまえらとっくに死んでるだろ? 何か用か?」
「うむ、作者から手紙を預かっておる。とりあえず読め!」
「作者から? なんかイヤな予感が・・・」
「では、さらばだ!」
「うーん、なんだかなぁ。」
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サイゾーへ
このままでは『サイゾーVSデューテはどうなった?』という読者のツッコミが来そうなので、
次回で番外編をすることに決定。
勝負はターン無制限の一本勝負。
戦闘開始は明日の正午。
他のキャラのフォローは一切無し。
なお、作者の権限でデューテ,サイゾーはともに『暴走モード』とする。
作者より
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「読者って・・・どうせ片手で数えられる程度しかいないくせに・・・。」
ズドーン!
どこからとも無く現れた謎のメカ『鈴凛3号』が怒りの鉄拳。
「フン、よけーなお世話だ」
ちゃんちゃん。
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次回は急遽番外編!
はたして勝者は?
<製作後記>
※この色の文は作者ツッコミです。
・・・けっきょく何がなんだか解らないまま終わってる気がする・・・。(汗)
矛盾点とかあれば遠慮なくツッコミしましょう。(笑)
なお、『なぜデューテは1人でリゲルの森にはいってしまったのか?』の謎が解けていませんので、
次回でフォローしておきます。
ちなみに、文中でサイゾーとデューテの食事シーンがありますが、
これは『エビフライ〜』のギャグをやるため『だけ』に入れました。(マジ)