へっぽこVSシリーズ第7弾「サイゾーVSヌイババ」(中編)

--ヌイババの館入口--

「ふぅ、やっと入り口だぜ。」
「結局、あの魔法の後は何もありませんでしたね。」
「やはり妙だ・・・。ここまでヌイババ以外の攻撃が全く無いというのは・・・。」
「考え過ぎだって。さっさと突撃しようぜ!」
「おい、待て!」

だが、サイゾーの忠告よりも早くグレイが扉を開けてしまった。

「オラオラ、死にたいやつはかかってきな!」
そういっていの一番に突撃したグレイ。
だが、館の中に待ちうけていたのはヌイババ軍の精鋭ではなく、不気味なほどの静寂だった・・・。

「? なんだこりゃぁ。」
「ここまで静かだと逆に怖いですね。」
「ヌイババ軍はいったい何処に消えちまったんだ?」

しかも、館には入口以外の扉や窓が全く見当たらなかった。
完全な密室だったのだ。

「扉がありませんね。どういうことでしょう?」
「微かに魔力を感じる。多分ヌイババの仕業だな。」
「じゃぁ、隠れた扉を探す必要がありますね。」

しかし、自分たちが入ってきた場所・・・館の入口が急に騒がしくなった。
それは何処から現れたのか・・・ヌイババ軍の精鋭達だった。

「なっ!? どこに隠れてやがったんだ?」
「くっ、やはり罠か。」
「どうするんだよ?」
「とりあえず迎え撃つしかあるまい。」

そして、剣と弓と魔法の応酬が始まった。
多勢に無勢と思われたサイゾー達だが、やはりアルム軍の精鋭である。
少しずつではあるが確実にヌイババ軍の戦力を削っていった。

「さすが、皆やるではないか。」
「当然!」
「でも、このままじゃキリがありません。なんとかしないと。」
「だが、この状態では扉を探すのが難しいだろう。ひとまずヌイババ軍を殲滅しなければ。」

すると、リュートが不敵に笑った。
「要はとっとと片付けろ、ってこどだな。」
「みんな、ちょっとどいてろ。」
「何をするつもりだ?」
「まぁ、見てなって。」

そして、リュートが魔法の詠唱を始めた。

「大気に宿りし風の聖霊達よ」
「その力を解放し、我に貸し与えよ。」
「風の力は真空となり、全てを切り裂く刃となる。」
「汝の名は・・・風の聖剣!」
「エクスカリバー!」

巨大な真空の刃がヌイババ軍に襲い掛かる。
その刃が過ぎ去った後は全てが吹き飛ばされ、何も残っていなかった。

「・・・すごい破壊力だな。」
「いつもよりデカいのを放ったからな。普通の2倍くらいはあるぜ。」
「よし、今のうちに。」

だが、そう思ったのも束の間だった。
館の入口からはさらにヌイババ軍が襲ってきたのだ。

「げっ、まだいるのかよ。」
「どうするんです? このままじゃ本当にキリがありませんよ。」
「・・・サイゾー、リュート。2人で隠れた扉を探してくれ。ここはオレ達3人で食い止める。」
「グレイ、いくらなんでもそれは無謀だ。」
「なぁに、これでも最初から解放軍に参加してたんだ。この程度、食い止めてみせるさ。」
「クリフ、ロビン! 大丈夫だよな?」
「OK。なんとかしてみせるよ。」
「やるだけやるだけですね。」

「お主たち・・・すまない。いくぞ、リュート!」
「わかった!」

そして、サイゾーとリュートは手分けして扉を探し始めた。
と言っても手当たり次第に探すわけではない。
2人は精神を集中して魔力の気配を探し始めた・・・。

そして、程無くして2人は目を開けた。
「気づいたか?」
「ああ、どうやらアレだな。」

といって2人は同じ場所を見た。・・・部屋の一角にあるガーゴイルの石像を。

「これが鍵みたいだな。目立つモン置きやがって。人をバカにしてるのか?」
「ふん、ヌイババのことだ。私達を試して楽しんでいるんだろう。」

そう言っててその石像を破壊する。
すると、部屋の一部が一瞬霞んで、そこに扉が現れた。

「グレイ、クリフ、ロビン。扉が見つかった。行くぞ!」
「いや、悪いが2人だけで先に行ってくれ。」
「このまま全員で突っ込んでも背後を突かれてしまいますよ。」
「僕達もここが終わってから行きますから!」
「しかし!」
「サイゾー、このままここで戦っていてもラチがあかない。先に行くべきだ!」
「くっ・・・わかった。」
「グレイ、クリフ、ロビン! 死ぬなよ! 絶対に!」
「当たり前だ!」
「必ず!」
「そちらも無事で!」
「・・・よし、行こう!」

そして、サイゾーとリュートの2人は扉を開けた。


--つぎの部屋では・・・--

扉を開けた先は不思議な部屋だった。
その部屋は四隅に水晶が置いてあり、それぞれが別々の輝きを放っている。
そして、部屋の中央には魔方陣と、謎の『573』という数字があった・・・。
しかも、例によって入口以外の扉は見当たらなかったのである。

「こりゃまた・・・変な部屋だな。」
「ふむ・・・どうしたものか。」
「とりあえず、この水晶に触ってみたらいいんじゃないか?」
「しかし不用意に触るのは・・・。」
「どのみちこのままじゃ事態は進展しないぜ。」

そう言って、リュートは部屋の下側にある水晶に触ってみたのだが・・・。

「ブー!」
不正解を表す効果音とともに、魔方陣にモンスターが現れる。

「なっ!? ドラゴンゾンビ!」
「チッ。」

しかし、そこは流石にサイゾーとリュート。
難なくドラゴンゾンビを倒してしまう。

「じゃ、こんどはこっちを触ってみるか。」
「・・・結局そうするしか無いようだな。」

そして、次は部屋の上側にある水晶を触ってみた。

「ピンポーン!」
今度はモンスターが現れなかった。どうやら正解らしい。

そして、部屋の片隅に扉が現れた。
ただし、それは扉の一部でしかなかった。全体のおよそ8分の1というところである。

「なるほど。こういう仕掛けか。」
「だが、一回正解しただけじゃ扉を通るのは無理だ。」
「何度か正解しないと通れない、ということか。」
「じゃ、次を調べてみようぜ。」
「待て!」
「どうした、サイゾー?」
「こういう仕掛けは、不正解だと最初からやりなおしという場合が多い。」
「手当たり次第に触るのはやめた方が良いだろう。」
「でも、どうするんだよ。」
「少し考えさせてくれ。」

(・・・おそらく部屋の中央にある『573』がヒントになっているのは間違いない)
(あとは、『最初の正解が上』ということ)
(それに、扉全体を開くのに必要な正解数がおそらく8回ということくらいだが・・・。)

(・・・)

(!! まてよ・・・『573』で『最初が上』あとは『全部で8回』だと!?)
(・・・なるほど、そういうことか。)

「リュート、正解が解った!」
「おっ、本当かい?」
「ああ、これから言う通りの順番で触ってくれ。」
「OK!」

「先ずは、上側の水晶を2回触ってくれ。」
「わかった。」

「次は、下側の水晶を2回。」
「あいよ。」

「次は、右を1回。」
「ふんふん。」

「今度は、左を1回。」
「よっと。」

「で、右を1回、左を1回で終わりだ。」
「よし。」

というわけで8回水晶に触ったサイゾーとリュート。
部屋の隅に隠れていた扉は、既に全体をはっきり見て取れるようになっていた。

「よし、行くぞ!」
「ところでサイゾー、なんで正解がわかったんだ?」
「部屋の中央にあった『573』は一種の当て字なんだ。」
「?」
「つまり『573』で『コナミ』ということだ。」
「! ははあ、なるほどね。」
「そういうことだ。」

まぁ、ファミコン時代からゲームやってる人には解りますよね。
つまり、「上上下下左右左右」というヤツです。
実際にはこのあとに「BA」って付くんですけど。(笑)

なお、「なんでコイツらがそんなこと知ってんだ!?」とゆー質問はナシでお願いします。(爆)


--そして・・・--

扉をくぐった瞬間、2人に強烈な悪寒が走った。

そこは、不気味なほど暗く、そして静かな部屋だった。
部屋の中は閑散としており、とても館の主が住む部屋とは思えない。
だが、その部屋の中央にその男・・・ヌイババはいた。

部屋の静寂を破ったのはリュートであった。
「お前が・・・ヌイババだな。」
「ほう、もうここに着いたのか。まんざらバカでも無いようだな。」
「それに、懐かしい顔もいるようだ。」
「・・・久しぶりだな。ヌイババよ。」
「やはり封印は解けてしまったようだな。」
「残念だ。あのままリゲルの傀儡として働いていれば、ここで無様に死ぬことも無かったものを。」
「ふん、別に私はお前に殺されるためにここに来た訳ではない。」

「おいおい、2人で勝手に話を進めるなよ。ま、そっちはオレのことを知らないだろうけど。」
「なんだ? うるさいハエが。」
「言ってくれるじゃねぇか・・・。だが、妹を操った代償は払ってもらうぜ。」
「なるほど・・・お前はミロアの息子というわけか。」
「ご名答。さて・・・そろそろいくか!」

そして、リュートは魔法を完成させる。
どうやら会話の最中に詠唱をしていたようだ。

「エクスカリバー!」

ヌイババに真空の刃が襲いかかる。
ヌイババはその刃に切り裂かれたかに見えた。
・・・だが、刃の過ぎ去ったあとには全く無傷のヌイババが立っているだけだった。

「なっ!?」
「この程度か・・・。ミロアの子と期待して損をしたわ。」
「暫くおとなしくしていろ。」

そして、ヌイババが片手を振り上げた。
するとリュートは『見えない力』で部屋の壁に叩きつけられる。

「ぐっ・・・」
そして、そのまま気を失ってしまった。

「さて、サイゾーよ。これで邪魔はいなくなったな。」

(なんという奴だ・・・。あの時から魔力が衰えるどころか、むしろ増大している。)
(勝てるのか? 今の私に・・・。)
(だが、もう後には引けない。持てる力全てを出して戦うのみ!)

「ほざけ! 最後に勝つのは私だ!」
「ほう、ならばやってみるがいい。」

サイゾーとヌイババの死闘が始まる・・・。

戦いは膠着していた。
サイゾーは懸命にヌイババに斬りかかるが、ヌイババ作った魔法障壁は固く、傷をつけることすらできない。
対してヌイババは毒素を放つ妖術『ドーラ』をサイゾーに向けて放つものの、
サイゾーの持つ『魔封じの盾』に阻まれ、その攻撃は届かない。
その状態は永遠に続くかと思われた。

だが!

「クク・・・そろそろ頃合だな。」
そう言って、ヌイババは詠唱を始めた。

「我が血の盟約により命ずる」
「万物に眠りし闇の力よ」
「我が声に応え我が身へと集え」
「暗き闇は魔性の姿へと形を変え」
「我に歯向かう者に絶対の死を与えん」

「メデューサ!」
ヌイババの呼び出した闇の力がサイゾーを襲う。

「ふん、その妖術でも、この『魔封じの盾』を破ることは出来ん!」
「ククク・・・それはどうかな?」

サイゾーは気付いていなかった。
自分の持つ『魔封じの盾』に、わずかではあるが傷がついていたことに。

そして、そのことを知らないままヌイババの妖術『メデューサ』を受け止めようとしたのだ。
しかし、そのわずかな傷から闇の力が入り込み、『魔封じの盾』を破壊していく・・・。

「なっ・・・ばかな!」
「『魔封じの盾』とて万能ではない。同じ位置に攻撃を受けつづければ、いつかは壊れてしまうものよ。」
「なんだと? 同じ位置に攻撃を当て続けたというのか?」
「私を侮ってもらっては困るな。・・・死ね!」

もはや『魔封じの盾』はその役目を果たすことはなく、
サイゾーは闇の中に飲み込まれてしまう。
「ぐわぁーっ!」

(くっ、所詮今の私では、サイゾーに傷をつけることすら出来ないというのか。)
(・・・父上、申し訳ありません。仇は討てそうにも無い。)

そして、闇の力が去った後・・・。

「う、うう・・・。」

「ほう、まだ息があるのか。だが、もはや立つことも出来ない様だな。」
「とどめだ。・・・ドーラ!」
毒素の塊がまっすぐにサイゾーを襲う。

(だめだ。避けられない・・・。)
(もはやこれまでか・・・。)

だが、毒素の塊はサイゾーに辿り着く直前で弾けてしまった。
・・・誰かが放った火球によって。

「!? 誰だ?」

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「!! デューテ!」

「・・・ミロアの娘か。ちょうどいい。まとめてあの世に送ってくれるわ。」

----------

奮戦虚しく、ヌイババに敗れたサイゾー。
そのピンチに現れたのは、なんとデューテであった。
しかし、ヌイババは余裕の笑みを漏らすばかりである。

絶体絶命の危機に陥った3人の運命は?

次回、いよいよ死闘に決着!
『サイゾーVSヌイババ』後編にチェキ!


<製作後記>この色の文は作者ツッコミです。 今回の『サイゾーVSヌイババ』のメインはここです。 次回、サイゾーの出番はあまり無いと思いますので。(^^; どうやら前中後でも収まらないので、最後に「完結編」を入れることになりそうです。 どんどん話が長く(しかもシリアスに)なってますが、見捨てずに見てくださいね。(笑)

戻る