へたれSS_第16回 へっぽこVSシリーズ第16弾「サイゾーVSイシュタル」(中編)
--2度目の対峙--

翌日の早朝に2人は集落を出た。

集落を出る時に少しイザコザがあった。
急に集落の長が同行すると言い出したからだ。
2人は何が起こるかわからず危険だからと断ったが、長が強行について来るので結局2人が折れることになった。

そして3人がイード神殿にあと少しというところで・・・。

不意に3人の近くを落雷が襲った。

「・・・今日は昨日より随分と荒っぽいな」
「ああ。これでは話をするのも難しいかもしれん。」
「今日のイシュタル様は随分とお怒りじゃのう・・・。」

そして、3人の前に一つの人影が現れる。

「・・・今日の私は機嫌が悪いのです。命の保証はしかねますよ。」
「イシュタル様・・・。」
「おや? 長老もご一緒とは。彼らに何か吹き込まれたのですかね。」
「イシュタル様・・・どうか、教団を辞めると言って下さらぬか?」
「これは異なことを。もともと私に教団をまとめていただくよう頼んだのはあなたではありませんか。」
「私は・・・いえ、我々は後悔しているのです。我々の願いによってあなたが苦しんでしまっていることに。」
「すでに他の集落の長たちの了解は得ています。どうか、これ以上苦しまないでください。」
「全ての集落から了解を得たわけではないのでしょう? ならば、私は教団を辞めるわけにはいきません。」
「イシュタル様・・・。」

ここでアルテナが割って入った。

「・・・やれやれ。強情も行き過ぎると嫌われるぞ。」
「あなた方に何がわかるというのです。」
「アルテナ殿、あなたはサラ姫がトラキアでどんな目に会ってきたか知っているはず。」
「それを知ってなお、教団との共存が可能だと考えるのですか?」
「・・・。」
「ああ・・・知っているさ。サラがレンスター城で受けてきた数々の仕打ち・・・知らぬ訳がない。」
「アルテナ殿?」
「だが・・・だかららこそ、私は教団との共存を実現させなければならない!」
「かつて暗黒神を信仰しているという理由だけで教団は迫害され、常に歴史の闇で生きてきた・・・。」
「だが、教団が闇で生きようとする限り、歴史は繰り返すことになるだろう。」
「何故解らない!? 今のままでは、再び『聖戦』が起こる可能性は決して低くないのだぞ!」
「黙れ!」

イシュタルの口調が急に荒くなり、同時に周囲に雷が落ちる。

「・・・結局平行線か。」
「帰れ・・・帰らなければ、命の保証は無い。」
「そうはいかない。こちらもトラキアをいつまでも王不在にしておくわけにはいかないのだ。」
「力ずくでもサラ姫に会わせてもらう!」

そして、アルテナはイシュタルに斬りかかった。
イシュタルも負けじと応戦する。

「いけない、アルテナ殿! あなたは自分で言っていた筈だ。自分ではイシュタルに勝てないと。」

サイゾーはアルテナに忠告するが、アルテナは忠告を無視してイシュタルに斬りつづける。
どうやらアルテナ自身、イシュタルの態度にかなり怒っていたようだ。

しかし、どちらかが倒れるまで続くかに見えたこの戦いは、意外な訪問者によって打ち止めとなる・・・。


--理想と現実--

初めに気がついたのはサイゾーだった。
イード砂漠を迷うことなく、真っ直ぐに向かってくる存在があったのだ。
サイゾーはその存在に見覚えがあった。

(!? あれは・・・まさか?)

程無くしてアルテナとイシュタルもその存在に気がついた。

「!? 何だ?」
「!! ・・・あれは・・・私の飛竜!?」

そう、イード砂漠をサイゾーたちのもとに向かって来たのはアルテナの飛竜だったのだ。
飛竜は迷うことなくアルテナのもとに向かってきた。
そして、その前足には一つの手紙がくくりつけられていた。
アルテナは迷うことなくその手紙を取り、読み始めた。

「!! サイゾー! すぐに飛竜に乗るんだ!」
「何かあったのか?」
「イードの街の連中が集落を襲撃する! 急がないと大変なことになるぞ。」
「!! わかった。」

素早くサイゾーとアルテナは飛竜に乗り込む。

「イシュタル殿はどうする?」
それは、ついて来るかというアルテナの質問だった。

「・・・いや、私には『転移』の魔法がある。場所だけ教えてくれないか。」
「イードの街に一番近い集落・・・いや、イシュタル殿にはこう言った方が解りやすいだろう、『以前襲撃された集落』だ。」
「・・・わかった。後で会おう。」

そして、イシュタルはその場から姿を消した。

「長はどうされる?」
「私が行っても何も変わりますまい。ここで結果を待つことにいたしましょう。」
「すまぬ。では、ごめん!」

そして、2人を乗せた飛竜はあっという間に飛び立つ。
過去の悲劇を繰り返さないために・・・。

「万が一のために宿の主人に頼んでおいて正解だったな。」
「では、あの手紙は宿の主人が?」
「ああ。あの宿の主人は『聖戦』の戦友なんだ。あの街で最も信頼のおける人物の1人だ。」
「彼に頼んでおいたのさ。街の人間が暴挙に出るようなら飛竜を使って知らせてくれ、とな。」
「アルテナ殿の読みは当たってしまったと言うことですか・・・。」
「できれば当たって欲しくなど無かったがな。」


2人は集落の入口へと辿り着いた。
幸い、まだイードの街の襲撃は始まっていなかった。
が、イシュタルが襲撃のことを知らせたのだろう。集落は既に臨戦体制となっていた。

集落の一角でイシュタルを見つけた2人はそこに静かに近づいた。
もちろん飛竜が降りられるような場所は無いので、乗ったままだ。

「まだ襲撃は始まっていないようだな。」
「ああ。時間の問題だろうがな。」
「・・・やはり、戦うつもりか。」
「当然だ。いざという場合、『あの魔法』を使うことにもなるだろう。」
「・・・イシュタル殿、ここは私に任せてもらえないか?」
「・・・イードの住民を説得するつもりか?」
「やめておけ。彼らにも彼らの理由がある。説得には応じないだろうさ。」
「やってみなければ解るまい。それに・・・」
「何かをする前から諦めてしまうような考え方は好きじゃない。」
「!!」
「・・・わかった。ここはアルテナ殿に任せよう。」

その時、集落の東側が急に騒がしくなった。

「来たようだな。では、行かせてもらおう。」


飛竜は集落の東を目指す。
そして、2人が辿り着いた時には、襲撃まであとわずかというところだった。

「・・・サイゾー殿、悪いが飛竜を降りてくれ。」
「どうした?」
「ひょっとすると暴れるかも知れんのでな。乗っていては危険だ。」
「そうか・・・わかった。」
「悪いな。」

そしてサイゾーは飛竜を降りた。
さらに、サイゾーが降りたところでアルテナが何やら詠唱を始めた。

「我が血の盟約により命ずる・・・。」
「我の持つ力は槍騎士ノヴァの力。すなわち・・・地槍!」
「『ゲイボルグ』よ。我の声に応え、その姿を現せ!」

詠唱が終わったとき、アルテナはその手に光り輝く槍を携えていた。
レンスター王家に伝わる聖12武器の一つ、地槍『ゲイボルグ』である。

(これは・・・アルテナ殿、本気で怒っているぞ)
(平穏に済めば良いが・・・)

アルテナは『ゲイボルグ』を手に、襲撃者の説得へと向かった。


--命の重さ--

一方、イードの襲撃者たちは突然現れた飛竜に驚いていた。

「隊長、あれはいったい?」
「うむむ・・・この付近に竜騎士が現れたことなど『聖戦』以来無かったはずなのに・・・。」
「先行隊に確認させますか?」
「・・・いや、このまま全員で前進だ。」
「わかりました。」

そして、竜騎士の姿がはっきりと見て取れる位置まで来た時に、隊長はひとまず待機するように伝えた。
さらに、隊長自身は竜騎士との接触を試みることにした。
いや・・・正確には、既に隊長は竜騎士の正体に気が付いていたのだ。

「まさか貴方が率先して動いているとは思いませんでしたよ、街長。」
「・・・やはり、アルテナ様でしたか。」
「何故・・・だ?」
「逆なのですよ。」
「!?」
「『聖戦』の直後から教団に対して凶行に出ようとする者は後をたたなかった。」
「だから私は、凶行に走ろうとする者たちをまとめ、その行動を抑圧してきたのです。」
「・・・。」
「ですが、物事には限界というものがあります。」
「考えうる限りの手段で抑圧してきましたが・・・もう私には彼らを止めることが出来なかった。」
「街長・・・。」
「ですが、私にも最後のチャンスがあったようです。」
「? どういうことだ?」

街長は襲撃者たちを振り返ってから、意を決して口を開いた。

「アルテナ様、私を・・・殺してください。」
「な!?」
「今の彼らは、私と言う「旗」の元に集団心理が発生しているに過ぎません。」
「私が居なければ「旗」がなくなり、集団ではなくなるでしょう。」
「彼らは「個」では動けないはず。だから・・・」

「・・・街長。これを受け取れ。」

そう言っアルテナは何かを投げた。
それは、少し大きめのナイフだった。
個人的には「七つ夜」とか書いていると嬉しいけど、場が白けるので隠しテキストにしておきます。(爆)

「街長よ、自分が死ぬ覚悟があるならば・・・」
「私を殺してみないか?」
「!?」

街長は、自分が何を言われているのか一瞬理解できなかった。

「どうした? 今の私はあなた達にとってはただの邪魔者だぞ。」
「それとも、その程度の覚悟でしかなかったと?」

アルテナはいつのまにか飛竜を降りていた。
地槍『ゲイボルグ』も封印しており、手に持っているのは一本の剣だけだ。

「その程度の覚悟でしかなかったと言うのなら・・・」
「望み通り引導を渡してやろう!」

そう言うが早いか、アルテナは街長に斬りかかった。
街長はとっさに手にしたナイフで防ごうとしたが、アルテナの剣技は簡単に防げるものではない。
あっという間に倒され、馬乗りの体制で剣を突き付けられた。
このままアルテナが剣を突き刺せば間違いなく絶命するという状態だ。

街長は、全てを諦めるように目を閉じた。・・・かに見えた。
だが、次の瞬間、街長は信じられないほどの怪力でアルテナを突き飛ばした。
世に言う「火事場の馬鹿力」というものだろう。

「ぐっ・・・なかなかやるではないか、街長。」
「ハァハァ・・・。」
「・・・私に殺して欲しいのではなかったのか?」
「・・・駄目です。私は・・・まだ死ぬわけにはいかない!」
「ほう・・・ならばどうする? 私を殺すのかな?」
「いいえ、それも私がするべきことではない。 そうでしょう? アルテナ様。」

街長がそう言うと、アルテナは嬉しそうに笑い、そのまま剣を収めた。

「フッ・・・どうやら解ったようだな。」
「ええ。私がすべきことは己を犠牲にする事ではない。」
「誰も犠牲にならないように皆を説得すること、そういうことです。」
「そうだ。間違えるなよ、街長。」
「人の命とは、そう簡単に捨てても良いものではない。」
「己を犠牲にすることが正しいと思っている者も多いが、それは所詮己の死を美化しているだけだ。」
「本当の『命の大切さ』とは、生きているということそのものなのだからな。」

「アルテナ様、感謝します。」
「では、私は私がすべきことを成すことにしましょう。」

そうして街長は後ろで待つ住民たちの元へと走っていった。
アルテナも黙ってそれを見ていた。
今の街長に助けを出すのはむしろ逆効果であろうから。

そして・・・

始めは誰も街長の声に耳を傾けようとしなかった。
中には街長に剣を突きつける者も出た。
だが、街長は負けなかった。
根気強く、『命』の意味と大切さを説いた。
そうして、街長の根気強い説得により、一人・・・また一人と街長の説得に応じるものが出てきた。
それからはあっという間だ。
そして、街長の説得に応じたイードの住民たちは静かに集落を後にした。

結局のところ、一人では何もできない者の集まりでしか無かったという事だろう。
しかし、それは逆に「人は一人では生きられない」ということの暗示と言えるのかも知れないが・・・。


--もう一つの大陸--

さて、アルテナが街長の説得をしている間、サイゾーはそれを静観していた訳ではない。
その頃、サイゾーもまた別の人物の説得を試みていた。

「・・・何か用か? サイゾー殿。」
「私の名を覚えているとは以外だな、イシュタル殿。」

そこは集落の一角にある天幕の前。
不思議なことに、イシュタルは襲撃前からこの場を全く動こうとしない。
どうやら、この天幕にはイシュタルにとって大切な『誰か』が居るらしい。

(まぁ、大方誰なのかは予測がついているがな・・・。)

「一度聞いた名前を忘れないのは私の特技だ。」
「それで? まさかこんな話がしたくて来たのではないだろう。」
「・・・本当はな、イシュタル殿を説得するつもりはあまり無かったのだ。」
「ほう?」
「私は『聖戦』を知らない。だから、この大陸の内情は実際のところあまり知らないのだ。」
「確かにアルテナ殿の言うことも解るが、イシュタル殿とてただ流されて教団に居るわけではあるまい。」
「当たり前だ。私には私の意思というものがある。」
「だから、第3者として静観するつもりだったのだ・・・つい先程まではな。」
「今は違うということか。」
「・・・イシュタル殿、私には貴方が自分のために生きているようには見えないのだよ。」
「!?」
「そう、あなたは『他の誰か』の為に生きているように見える。」
「まるで、約束を守れなかった自分に対する償いのように・・・。」
「・・・やめろ!」
「おそらくその人物の名前は・・・。」
「やめろと言っている!」

そして、サイゾーからわずか50センチの位置に雷が落ちる。

「ハァハァ・・・今のは警告だ。これ以上言えば命は無いと思え。」
「・・・まぁいいだろう。」

そして、しばらくはお互いに何も言わない時間が続いた。

(うーむ、このままではラチがあかないな。)
(・・・仕方が無い。奥の手でいくか。)

サイゾーは不意に切り出した。

「イシュタル殿、少し目を閉じていてもらえないか?」
「・・・何をするつもりだ?」
「なに、ちょっとした呪い(まじない)を掛けてやろうと思ってな。」
「安心しろ。変なものじゃない。ただの気休めだ。」
「・・・。」

イシュタルは何か言おうとしたが、なにか思うところがあったのだろう。
なにも言わずに目を閉じた。

そして、サイゾーは何やら詠唱を始めた。
もっとも、詠唱と言うよりは呪文と言ったほうが良かったが。

そして詠唱が終わり、サイゾーはイシュタルの額に手をあてた。

「ふんっ!」

気合のこもった声が響く。
同時に、イシュタルは気を失ってしまった。

その状況に驚いたミロアが不意に声を上げる。
「えっ? サイゾー殿、いったい何を?」
「うむ。イシュタル殿には悪いが・・・少し記憶を操作させてもらった。」
「な? ・・・いつの間にそんな隠し技を。」
「自分を取り戻してから、密かに修練していたのだよ。まぁ、原理さえわかればあとは難しくない。」
「幸いかとうかは判らないが、原理は自分で身を持って体験したからな。」
「・・・なるほど。今のはヌイババの技と同じもの、ということですか。」
「そういうことだ。」

「ですが、サイゾー殿。他人の記憶に介入するのは・・・。」
「・・・何が正しくて、何が間違いなのかなんて私は知らないさ。」
「だから、私は自分が正しいと思ったことをした。・・・ただ、それだけのことだ。」
「そうですか・・・。ならば、これ以上は何も言いません。」
「・・・ありがとう、ミロア殿。」

ちょうどその頃、イードの街の住民が集落から去るのが見て取れた。

「アルテナ殿の説得は成功したようだな。」
「ええ。これで、ひとまずは安心ですね。」
「よかった・・・。これで安心して休める・・・。」
「えっ?」
「あの技は・・・慣れていないから・・・かなりの精神力を・・・消費する・・・ん・・だ。」

といって、倒れてしまうサイゾー。
説得の成功を知って、これまでの疲れが一気に出てしまったのだ。

そして・・・。


--消えた2人の姫--

およそ一刻(2時間)の後、イシュタルは意識を取り戻した。

「うう・・・。」

そして、すぐ近くに倒れているサイゾーに気がついた。
サイゾーは安らかな顔で静かに寝息をたてている。

「フッ・・・フフ・・・ハハハハハ!」

急にイシュタルは笑い出した。
それは、いつもの笑い方とは全く違う、本当に楽しくてしょうがないという感じの笑いだった。

「おもしろい男だ・・・。まさか、私の意識そのものに介入しようとするとは思わなかったぞ。」
「だが、残念だな。そんな子供だましでは、私の意識に介入するのは不可能だ。」
「・・・まぁ、ショックで意識を失わせるくらいは可能なようだが。」

そして、イシュタルは笑うのを止め、穏やかな顔を見せた。

「・・・いままで、誰も私にこんなことを言う者はいなかったのにな。」
「正直、私もどちらが正しいのか判らない。しかし・・・。」
「・・・そうだな。どちらが正しいのか自分で判らないというのなら・・・」
「自分以外の誰かにそれを決めてもらうのもまた一つの有り方なのかもしれない。」

「よし!」

イシュタルは空を仰いだ。
そして、今はもう生きていない人物に対して話し始めた。

「・・・ユリウス様、私は教団を抜けます。」
「そして、これからは自分の意志で生きていこうと思います。」
「・・・貴方はお怒りになるかもしれませんね。」
「けれど、貴方を想う気持ちは決して変わりません。」
「どうか、私が貴方を忘れないように、貴方も私を忘れないで下さいね・・・。」

「ああ・・・解っているさ。」
「えっ!?」

「イシュタルはイシュタルのままでいればいい。」
「私の過去に縛られず、自由に生きて欲しい。」
「それが、私が貴方に言った最後の願いなのだから・・・。」

「ユリウス・・・様・・・?」

しかし、もう声は聞こえなくなってしまった。
それは、イシュタルの願望が見せた幻影だったのかも知れない。
だが、イシュタルはその言葉を信じることにした。
その言葉がある限り、自分はきっと『自分』のまま生きていけるだろうから・・・。


「さてと・・・とりあえずサイゾーをこのままにしておく訳にもいかないな。」

イシュタルはサイゾーを担いで天幕へと入っていった。
女性とは想えない強靭な筋力だ。これも日頃の努力の賜物であろう。

しかし、天幕に入ったイシュタルを待っていたのは・・・。

「!? ・・・サラ?」

返事は無い。つまり、天幕の中には誰も居ないのだ。

「!! しまった! いつの間に?」
「・・・いや、サイゾー殿に気絶させられていたのだったな。・・・どうやらその時か。」

「・・・部屋に魔力の痕跡は無いな。」
「つまり、『転移』の魔法ではないということになる。」
「・・・まずいな。」

部屋に魔力の痕跡が無い。それはつまり、サラの行方を追うのが困難であるということを示していた。

「とりあえず、ここに居ても事態は進まないな。」

そして、イシュタルはサイゾーの身を地面に降ろし、上から毛皮を掛けておいた。
さすがにサラの使っているベッドには寝かせられないということだろう。
そして、サイゾーに書置きを残して天幕を後にした。

「礼を言うのは次に会う時まで借りだな、サイゾー殿。」

こうして、2人の姫は姿を消すこととなる・・・。


----------

サイゾーの懸命な説得の前に、ようやく心を開いたイシュタル。
しかし喜びも束の間。
サラが失踪し、その後を追うようにイシュタルも姿を消す。

サイゾーとアルテナは再び2人に会うことが出来るのか?
そして、その先にあるものは・・・。

次回、いよいよ第2部最終回!
『サイゾーVSイシュタル』(後編)に、「教えろ! アルク先生」(ヲイ!)


<製作後記>この色の文は作者ツッコミです。 日本全国に5人はいると思われる(弱気)サイゾーファンの皆様。 お待たせしました。ようやく中編の完成です。 今回はスランプに陥ってホントに大変でした。 中盤はムリヤリ仕上げてある部分もありますが、どうかお見逃しを。(^^; ギャグもほとんど(全く?)ありません。  ↑つーか次回予告のところ以外はホントに無いよ・・・。 でも、次回は話が既にほぼ出来あがってるので今回のような事態にはならないでしょう。 ようやくサラを動かせるー。(爆) では、第2部最終回をお待ちあれ。

戻る