へたれSS_第18回 へっぽこVSシリーズ第18弾「サイゾーVSイシュタル」(完結編)
--新しい一歩へ--

ここはトラキア城の広場。
その日、広場には道を埋め尽くさんばかりの人が集まっていた。

「リーフ様ーーー!」
「サラ様ーーー!」

・・・イード神殿での出来事からは、すでに1ヶ月が過ぎようとしていた。
そして、この日はリーフとサラの結婚式が行われていたのだ。

さながら自分の子供のことのように喜ぶ者。
複雑な表情で2人を見ている者。
明らかに敵意を持ってサラを睨んでいる者。

同じトラキア国の人々の間でも、その反応は様々だ。
だが、当の2人はそんなことなど関係無いと言わんばかりに幸せな表情を見せている。

サイゾーもまた、そんな2人を微笑ましく見ていた。

「ふふふ・・・サラのウェディング姿に見惚れているのかな?」

不意に声をかけられて、驚きながら振り返ってみると

「・・・なんだ、アルテナ殿か。あまり驚かせないでくれ。」
「で、実際のところ、今日のサラを見てどうだ?」
「正直に言っても良いか?」
「どうぞ。」
「・・・女性は化けるものだな、と。」
「ハハハ・・・そりゃ傑作だ。」
「そういうアルテナ殿はどうなんだ? 弟の晴れ姿を見て。」
「そうだな。これだけ幸せそうな弟は久しぶりだ。」
「・・・実際のところ、サラが失踪した直後のリーフは見ていられなかったからな。」
「なるほど・・・。良かったな、アルテナ殿。」
「ああ。でも、これで終わりじゃない。」
「うむ。本当に大変なのはこれからだろう。」

その時、広場の中央がひときわ大きく騒がしくなった。
どうやらリーフの演説が始まるようだ。

・・・スイマセン。
ホントは演説も書く予定だったんですが、諸所の都合により省略します。(^^;;;;;

-演説終了-

「ワァァーーー!」
「リーフ王、バンザーイ!」

演説が終わると、また広場は騒がしくなった。
そんな中を、リーフとサラはゆっくりと城内に戻っていく・・・。
この後、場内では2人を祝福するための宴会が催されることになっていた。

2人が城内に消えると、広場に集まっていた人々は散っていく。
この後の宴会には一般の市民は立入り禁止になっているからだ。

もちろんサイゾーはリーフ直筆の紹介状をもらっているのでそんな事は無い。
広場の片隅で、人々が散っていく様子をぼんやりと眺めていた。
そんな中、不意に見覚えのある人物が目に入る。

(!? ・・・あれは!)

素早くその人物に駆け寄るサイゾー。

「まさか来ているとは思わなかったぞ、・・・イシュタル殿。」
「なんだ。気づかれてしまったのか。」
「なに、恐らく気づいたのは私だけだ。来ていたことを話すつもりも無いから安心していいぞ。」
「・・・やっぱりサラ殿を見に来たのか?」
「ああ。」
「で?」
「フフ・・・正直驚いたよ。あれほど幸せな顔は見たことが無かった。」
「こればかりは、リーフに感謝しないとな。」
「もう、神殿の修復は終わったのか?」
「ああ。今後は大陸を見て回る旅に出る。」
「そうか。・・・もう、会えないかも知れんな。」
「どうだかな。案外、ひょっこり会うことになるかも知れんぞ。」
「フフフ・・・それもおもしろいな。」
「さて・・・そろそろ城内で宴会が始まるぞ。行ってやれ。」
「ああ。元気でな。」
「そちらもな。」

そして、サイゾーとイシュタルは別の方向へと歩き出す。

「では、城内に行くとするか!」

サイゾーは早足で城内へと向かった。


--イード神殿その後--

さて、ここでイード神殿におけるその後について話しておこう。

サイゾーの予想通り、次の日の朝一番でアルテナがイード神殿にやってきた。
当然ながら、4人はアルテナの質問攻めに合うことになる。

アルテナが全ての事情を理解する頃には、既に昼近くになっていた。
それは、この事件がいかに複雑なものであるかを物語っていたと言えるだろう。

「・・・で、イシュタル殿は今後どうするつもりだ?」
「野盗の傷跡が酷い。しばらくは神殿に留まることになるだろう。」
「その後は?」
「そうだな・・・。大陸を見て回る旅にでも出ようかと思っている。」
「そうか・・・。縁があったらまた会おう。」
「ああ。」

「イシュタル・・・。」
「サラ、もう解っているな? お前が居るべき場所はここじゃない。」
「・・・。」
「サラを心配しているのはリーフやアルテナだけじゃない。早く、元気な姿を見せてやれ。」
「でも・・・。」
「これが永遠の別れじゃないだろう。生きていれば、また会えるさ。」
「・・・うん・・・解った。・・・イシュタルも・・・元気で。」
「ああ。サラも、元気でな!」

そして、アルテナ,サラ,リーフ,サイゾーの4人はイード神殿とイシュタルに別れを告げる。

トラキア城に着くまでの間、サラはずっとうつむいたままだった。
恐らくは泣いていたのだろう。他の3人も何も言わずにそれを見守っていた。

実は、この時の4人は全く同じことを考えていた。
確かに自分達には帰るべき場所がある。待っていてくれる人がいる。
だが・・・
「では、イシュタルの帰るべき場所は何処にあるのか?」と。


イシュタルはいったいどんな想いで4人を・・・サラを見送ったのだろうか?
それはきっとイシュタルにしか解らないだろう。

それでも、そのことを悲しむべきではないのかもしれない。
確かにイシュタルは帰るべき場所を失った。しかし、同時に得たものも確かにあるのだから。

「過去を忘れろとは言わない。だが、人は現在と未来に生きるのだ。」

それは誰の言った言葉だったのか。

今はその言葉を信じて、イシュタルの未来を祈ろうと思う・・・。


--予言--

話は再びリーフとサラの結婚式へと戻る。

さて、紹介状を見せて城内に入ったサイゾー。
意外に宴会の出席者は少なかった。
サラは人ごみが好きではないので、その辺りをリーフが考慮したのかもしれない。

それでも、サイゾーの見知った顔がちらほらと見受けられた。
セリスを始め、アレス,レスター,スカサハなどだ。

しかし、残念ながらシャナンの姿は見つからなかった。まだイザークの情勢が安定していないらしい。
あるいは、サイゾーとの試合で負った傷が治っていないのか・・・。

宴会とは言っても、出席者のほとんどは『聖戦』の戦友である。
堅苦しい挨拶や演説はほとんど無く、ただリーフとサラを祝福するために皆が集まっているという感じだ。
そんな中をサイゾーはゆっくりと歩き回り、見知った人物に挨拶をしていた。

けれど、それは束の間の休息・・・。
サイゾーはこの結婚式が終わったら、新しい旅に出る決心をしていたのだから。


そして、宴会が終了して、サイゾーは部屋に戻ってきた。
※サイゾーは、リーフから城内の客室を一つ借りています。

「ふぅ・・・やはり慣れない雰囲気は疲れるな。」
「あら? けっこう楽しそうでしたよ。」
「からかうのは止めてくれ・・・ん?」
「どうしました?」
「手紙だ・・・。」

サイゾーは部屋の机に手紙が置いてあることに気がついた。
もちろん部屋を出る前は置いていなかった。

「・・・誰からだろう?」

サイゾーは手紙を読み始めた。
その手紙には、小さい文字で簡潔な文が書いてあった。

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サイゾー様

話があります。
今夜、広場の噴水で待っています。

サラより

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「・・・何の話だろうか?」
「さぁ・・・。」
「まぁ、行ってみればわかるだろう。」


・・・そして、その日の夜。
月の明かりの元、2人の人物が広場にあった。

「・・・今夜も月が綺麗だな。」
「ええ。あの時以来ですね。」

『あの時』とはもちろんイード神殿でのことである。

「・・・で、話とはなんだ?」
「貴方に関する『予知』が聞こえたのです。」
「ふむ・・・。どんな内容だったのだ?」
「そうですね・・・。」

そして、サラはその『予知』を語り始めた・・・。

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「もう一つの大陸」を冠する者
雷の姫を救いし後、一つの大陸を後にする

かの者、「暗黒」と「英雄」を抱く大陸に渡り
仮面の騎士と対峙する

騎士と対峙せし時、一つの真実が明らかとなる。

一つの真実は新たなる真実を呼び
かの者、いつしか全ての真実を知る

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「・・・なるほど。『予知』というよりは『予言』だな。」
「ごめんなさい・・・。遠い未来の場合はこんな感じにしかならないのです。」
「いや、別に気にしなくてもいい。」
「それに、次の目的が決まっていなかったから、道標にはちょうどいいだろう。」

「・・・話はこれだけか?」
「いいえ、もう一つ。・・・貴方に渡したいものがあります。」

そう言うと、サラは腰のあたりから袋を出し、その中から何かを取り出す。
それは、一振りの小さな短剣だった。

「これは?」
「これは『大地の剣』と呼ばれる宝剣。」
「他者の生命エネルギーを吸い取り、自分の生命エネルギーへと変換する力を持っているそうです。」
「今後の旅にきっと役立つと思います。どうぞ、受け取ってください。」
「・・・いいのか? これはサラ殿にとって大切なものではないのか?」

その剣は遠目にもしっかりと手入がなされれていることが見て取れた。
また、先程のサラが腰から取り出したところを見ると、肌身離さず持っていたはずだ。
どう考えても、この剣がサラにとって重要な意味を持っていることは確実である。

「ふふふ・・・いいんですよ。今の私にはもっと大切なものがたくさんありますから。」
「あ。」

その「大切なもの」が何なのかは聞くまでも無い。

「・・・わかった。では、受け取ろう。」
「どうぞ。」
「だが、これは借りておくだけだ。・・・いつか、必ず返しに来るからな。」

その言葉にサラは少々驚いたが、しばらくしてから笑って答えた。

「ええ。お待ちしていますね。」


「・・・では、元気でな。」
「・・・ええ。サイゾーさんも。・・・お元気で。」

サイゾーは、「また明日」とは言わなかった。
明日の朝にトラキアを発つ。そのつもりだったのだから。

サラも、すでに『予知』の力で知っていたのだろう。
悲しそうな表情でサイゾーに言葉をかけた。

そして、2人は広場を後にする。


--「暗黒」と「英雄」と--

次の日の早朝、サイゾーは一人トラキアを後にした。
・・・いや、そのつもりだった。

しかし、城を出たところで2人の人影が目に入ったのだ。

「・・・なんだ。今日発つとわかっていたのか。」
「まぁ、サイゾー殿の性格を考えれば、大体はな。」
「酷いですよ。城のみんなに挨拶もせずに去っていこうとするなんて。」

その2人とはアルテナとリーフだ。

「・・・そうだな、すまない。」
「と言っても、引き止めていたのはこちらの方だからな。」
「その約束が終わった以上、サイゾー殿がトラキアに居る意味は無いのだろう。」
「・・・ああ。もう、次の目的も決まった。」
「そうですか・・・。では、引き止めることは出来ませんね。」
「でも、忘れないで下さい。トラキアには・・・いえ、バレンシア大陸にはあなたを待つ人が居るのだと。」
「いつか、またこの大陸を、トラキアを尋ねに来てください。」

サイゾーは小さく笑った。

(ふっ、これではイザークの時と変わらんな。)

「ああ。約束しよう。いつかまた、この大陸に・・・このトラキアに来ると。」
「ありがとう、サイゾーさん。」
「では、また会おう。サイゾー殿。」

そして、サイゾーは2人に見送られてトラキアを後にした。


次の目的地はすでに決まっている。
「暗黒」と「英雄」を抱く大陸、それはもう一つの大陸・・・アカネイア大陸のことだろう。

2年ほど前、アカネイア大陸には「暗黒戦争」と呼ばれる大陸全土を巻き込んだ争いがあったと聞く。
おそらく「暗黒」とはこのことを指しているのだ。
「英雄」については解らないが、少なくともバレンシア大陸にはこの単語は当てはまらない。
結局のところ、アカネイア大陸に渡るのが正解だと思っていた。

「では、行くとするか。」

そして、サイゾーは一路ルテキアの街を目指す。


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リーフとサラの失踪事件に決着をつけたサイゾー。
サラの予言を道標に、一路アカネイア大陸を目指す。

第3の大陸でサイゾーを待ちうけるものとは?
サラが語った「真実が明らかになる」という言葉の意味は?
『仮面の騎士』の正体とは?

様々な謎が解き明かされる(かもしれない)第3部。

しかし次回はギャグメイン。(ぉ
『サイゾーVSバーツ(前編)』に、トライアングルアターッ苦!(なんのこっちゃい)


<製作後記>この色の文は作者ツッコミです。 今回、作者の視点で書いた文章がちょっとだけあります。(どこかはバレバレですね) ま、こういうのもアリということで。(ぉ さて、いろいろと悪戦苦闘した第2部がようやく完了。 予定よりも出たキャラ、出なかったキャラもいますが、大体の道筋は変わらず書いてあります。 本音を言えばもうちょっとサラを動かしたかったですね。(自爆) でも、性格の関係でなかなか動かせないんですよ・・・。 その分イシュタルに頑張ってもらいました。(笑) 第3部からは少しずつラストに向かって動いていくことになるのでお楽しみに。(^^)

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