へたれSS_第21回
へっぽこVSシリーズ第21弾「DTA VS PTA」(後編)
エストファーネ
(夢だったら、早く覚めて欲しい)
自分の目前に広がる光景が信じられなかったわ。
信じられる訳がないじゃない。
ティーエ様とサーシャ様が、恐ろしい形相で自分に剣を向けてるなんて。
(何故こんなことになったの?)
夜、用を足すために起きたことは覚えてる。
用を足した後、小さな建物に入ってしまったことも覚えてる。
けど、記憶はここまで。
気が付けば、信じられない光景がそこにあったの。
2人はためらいもせず自分に襲いかかってきた。
何かが割れるような音が聞こえて、また記憶が途絶えた。
バーツ
「それ」を見たくなったのは、ただの気まぐれだった。
いや、本当はずっと見たいと思っていたのかもしれないな。
ユトナ大陸での日々は充実していた。でも、やっぱり自分はアカネイアの人間だ。
暗黒戦争じゃマルスの側に仕えて、いくつかの武勲も上げた。
それが確かなものであったという証が欲しかったんだろうか?
皆よりも少しだけ早く起床して、「それ」を置いてある場所に向かった。
あの場所にはアカネイアで過ごした確かな証がある。
もちろん「それ」がどこに置いてあるのかも、ちゃんと覚えていたぜ。
でも、「それ」はあるべき場所にはなかったのさ。
(そんな・・・いったい何処に!?)
サジとマジが処分してしまったのか?
いや、それはあり得ない。
あの2人は、「それ」が自分にとってどういうものかを知ってるから。
少し落ちついて周囲を見渡した。
棚や木材の埃の量からすると、最近まで誰も入っていないはずだ。
しかし、入り口から「それ」が置いてあった位置を結ぶ線上だけが違っていた。
その線上だけは、不自然なほどに埃が落ちていなかった。
(まさか!)
悪い予感がする。
「それ」を持ってしまった人間がどうなるのか。
それは、誰よりも自分自身が一番よく知っている。
俺は、迷うことなく家の中に走り出した。
サーシャ
「おいっ! 真紅の斧を見なかったか!?」
あっという間に目が覚めちゃったわ。
夜に事件があったから満足に寝てないんだけど、すぐに目が冴えちゃった。
だって、いきなりドタバタ走ってきて、しかも開口一番「斧を見なかったか!」なんて叫ばれては無理もない。
ましてや、夜の事件はまさに「斧」が原因だったんだしね。
横を見ると、エストが何事かとけだるそうに起き上がった。
夜にあれだけ暴れたんだし、まだ身体の疲れが取れていないんじゃないかしら。
ま、本人は暴れたことなんて覚えていないでしょうけど。
逆を見ると、ティーエ様が落ちついた様子で座っていた。
こちらは既に起きていたみたい。バーツさんのドタバタにも動じた様子がないのは流石よね。
「こんな朝早くから騒がしいですね。」
「あ・・・すまねぇ。ちょいと取り乱しちまった。」
「って、そうだ。なぁ、真紅の刃がついてる斧を見なかったか!?」
「真紅の刃、ですか?」
「ああ。俺の大事な斧なんだ。誰かが持ち出しちまったらしい。」
「そうですか・・・大事な斧だったんですね。」
横で聞いていて、正直気が気ではなかったの。
自分は、その斧を誰が持ち出し、そしてどうなったのかを知っている訳だし。
でも、今のバーツさんの慌てようを見ると、かなり大事なものだったみたい。
本当のことを言うべきかしら・・・。
ひとり迷ってたんだけど、その必要はなかったわね。
「だった!? ・・・ティーエさん、知ってるのか?」
「はい。バーツさんが探している斧は・・・これでしょう?」
そう言って、ティーエ様は部屋の奥にあった木箱を取りだし、バーツさんに見せた。
その中には例の斧が一つだけ入っているはずよ。
ただ、その斧は原型をとどめてないけど。
「この斧は危険過ぎます。後々を考えて、私が壊しておきました。」
引っ込み思案に見えて、その実言うべきことははっきり言う。
ティーエ様はそういう人だった。
サイゾー
胸騒ぎがして目が覚めてしまった。
なにか、大切なことを忘れているような気がする・・・。
起きあがって周囲を見渡すと、すでに誰もいない。
昨日は寝る時間が遅かったから、ひとり寝坊してしまったらしい。
「おはよう。」
誰も居ないことを確認して声を出す。
もちろん寝ぼけて独り言を言ったわけではない。
「おはようございます。サイゾーさん。」
ミロア殿がよく通る声で返してくれた。
うむ。やはり朝はこうでなくては調子が出ない。
着替えてから外に出てみると、まだ太陽は東に見えた。
思ったほど遅い時間ではないらしい。
しかし、家の中に誰も居ないのはどうも不自然だ。
皆はどこにいるのだろうか?
(ん? あっちの方が騒がしいな)
閑静な街の中で、一つの方角だけが妙に騒がしい。
そして、その方角にはバーツ殿の自宅があるはずだった。
とりあえず、その場所に行ってみることにした。
リチャード
「全く・・・面倒なことになった。」
今、俺はバーツの自宅にある庭にいる。
目の前では、ティーエとバーツが言い争っている。
「ふざけんな! 謝るだけで終わると思ってんのか!?」
「貴方があんな場所に置いているからこういうことになったんですよ!」
「はいそうですか、って納得できるかよ!」
「大体、なんだってあんな危険なモノが置いてあったんですか!」
「確かに危険なモノだけどよ・・・俺に取っちゃあ一番の宝物だったんだ!」
これだけまくし立てるバーツも珍しい。
おそらく、奴にとってはそれほど大切なものだったのだろう。
これでは自分から折れるということはまずあり得まい。
しかし、それはティーエも同じこと。
普段は冷静に輪をかけて落ちついている奴が、あれほど声を荒げているとは。
何があったのかは解らんが、あれだけ怒っているティーエは久しぶりに見る。
たぶん、俺が説得しても無駄だろうな。
こういう時に限ってリュナンやホームズが不在とは皮肉なもんだ。
「いくら話してもラチがあかねぇ。」
「ここはひとつ、こいつでケリを着けようじゃねえか!」
バーツが斧を手にとってティーエに言った。
「いいでしょう。望むところです!」
意外にもティーエはあっさり答えた。
まぁ、確かにこのまま話しても平行線。この方が手っ取り早いだろう。
しかしバーツの奴、ティーエに勝てるつもりなのか?
その時、この場所に向かってくる足音が聞こえた。
どうやら奴も起きたらしいな。
サイゾー その2
「どういうことだ・・・?」
バーツの家に着くなり驚いた。
家の周りに街中の人間が集まっていたから何かあることはすぐに解ったが、
まさかバーツ殿とティーエ殿が斧と剣をもって打ち合っているとは。
周りを見る限り、修行とは到底思えない。
おそらく、2人は本気で打ち合っている。
(まずは事情を聞かないと・・・)
幸運なことに、すぐ側にシゲン殿とシエラ殿の姿が見えた。
「シゲン殿、これはいったい何事だ!?」
「おっ、サイゾーか。やっと起きてきたな。」
「シゲン殿! 質問に答えてくれ。」
「悪い悪い。簡単に説明するとな、テイーエがバーツの斧を壊したのが始まりらしい。」
「斧?」
「話を聞いていた限りじゃ、バーツの宝物らしいな。」
「なんでも、真紅の刃がどうとか・・・。」
「!!」
その時、ようやく胸騒ぎの意味を理解した。
自分は、昨日その「真紅の刃」をもつ斧とひと騒ぎあったではないか。
もしや、目の前の騒ぎは自分が原因なのではないか?
自分が事情を説明すれば、上手く納まるかもしれない。
そう思って駆け出そうとした。
が、駆け出そうとしたところをシゲン殿に捕まえられた。
「まあ待てよ。説得したい気持ちも解るが、下手に手を出すと危ないぜ。」
・・・確かにそうかもしれない。
今の2人は明らかに冷静さを欠いている。
下手に手を出そうとすれば、大怪我をする可能性もあるだろう。
それに、本当に例の斧が原因なのかまだ解らない。
今は状況を見守ることが先決かもしれない。
しかし、こういう状況では自分は無力だ。
ホームズ殿やリュナン殿が一喝してくれれば・・・。
そう思ったサイゾーは、その2人が見当たらないことに気が付いた。
「そう言えば、リュナン殿とホームズ殿は?」
「ああ、奴らは行きたいところがあるって朝早く出かけちまった。」
「メーヴェとカトリも一緒だし、当分戻らないはずだぜ。」
「そうか・・・。」
「そんなに心配するなって。案外なんとかなるもんさ。」
(そうだと良いが・・・)
胸騒ぎはまだ消えそうになかった。
リチャード その2
(そろそろケリが着くな)
ティーエとバーツの打ち合いは、どう見てもティーエの優勢だ。
それはそうだろう。あの2人では速さが違いすぎる。
あれではティーエの方は魔法を使う必要もあるまい。
キィーン
バーツの斧が飛ばされた。
どうやら勝負あったな。
これでどうにか騒ぎも収まるだろう。
・・・と思ったのに、ティーエが予測を超える行動に出てくれた。
バーツの野郎に剣を振り下ろすとはな。
(ったく! キレて見境を無くしてやがる)
ティーエの持つ剣は訓練用の剣ではなく真剣だ。
いくらバーツでも下手すりゃ死ぬぞ。
(間に合うか?)
俺はとっさに剣を抜いて投げつけようとした。
のだが・・・。
ガキィーン
間一髪。ティーエの剣は弾かれた。
誰かが投げた斧で。
・・・ま、斧だったらあの2人のどっちかだな。
(しかし、どんどん事態が悪化している気がするぞ・・・)
サーシャ その2
(なんかややこしいコトになってきたわね・・・)
ティーエ様の剣を弾き飛ばした主は、そのままバーツさんに駆け寄ってきた。
「サジ、マジ・・・すまねぇ。」
「なぁに、無事でなにより。」
バーツさんの無事を確認して、2人はティーエ様に向き直った。
「さすがに今のはいだだけねぇな。」
「悪いが、俺たちが加勢させてもらうぜ。」
これは予想外の展開。
まさか1対3になっちゃうなんて。
でも、こうなったらこっちも黙って見てる訳にはいかないわよね。
「エスト、行くわよ。」
「はい! サーシャ様。」
エストは私が何を言いたいのか解ってるみたい。
手にはすでに『天馬の笛』を持って準備万全。
ま、私の場合は笛じゃなくて口笛でも呼べるんだけど。
それぞれ自分の相棒を呼んで、そのままティーエ様に駆け寄る。
途中でちゃんとティーエ様の剣も拾っておいた。
そして剣を渡しながら私は言った。
「ティーエ様、こちらは私たちが加勢しますね。」
バーツ その2
(なんか・・・話がどんどんでかくなってやがる。)
本当は、ティーエさんに勝てるなんて最初から思っちゃいない。
決着を着けようと言ったのは、お互いが納得する近道だと考えたからだ。
結局のところ、壊れちまったモンは元には戻らない。
でも、斧を弾かれた後に剣を振り降ろされたのは予想外だったなぁ。
ティーエさんって、キレちゃうと周りが見えなくなるのね・・・。
おかげでサジとマジまで乱入してくるし。
でも、これはチャンスかもしれない。
1対1では無理でも、サジとマジがいれば『あの技』が使える。
向こうも3人いるが、エストは戦力外だから、実際には3対2ってことだ。
「サジ、マジ、例の技でいくぞ!」
「そう来ると思ってたぜ。」
「おうよ、まかせとけ!」
ティーエ
(自分ではもっと冷静なつもりだったんだけど・・・)
さすがにアレはまずかったわね。
あそこで剣を振り降ろさなければ、とっくにこの騒ぎは収まっていたでしょうに。
でも、今更言ってもしょうがない。
いまはこの状況を改善していかないと駄目だわ。
「2人とも、下がって!」
「えっ!? でも・・・。」
「いいから!」
「は、はい。」
とりあえず2人を下がらせた。
向こうはあの3人が揃ってしまった以上、例の技を使うはず。
サーシャさんはともかく、実戦経験のないエストには危険過ぎる。
案の定、3人は一定の距離を保ちつつ間合いを詰め始めた。
もうそろそろ間合いに入るわね。
(来た!!)
3人がそれぞれ正面と左右から襲いかかる。
タイミングも完璧。さすがに親友と言うべきかしら。
「食らえ、三身一体の秘奥義。」
「デビル!」
「トライアングル!」
「アターッ苦!」
・・・最後の声だけ違和感がありましたね。気のせいでしょうか?
(でも、これって弱点がバレバレなんですよ)
私は迷うことなく上に跳んだ。
三身一体の必殺技『トライアングルアタック』に逃げ場がないことは確かに有名。
でも、それってあくまでも天馬騎士とか竜騎士の場合なのよね。
この3人の場合、どう頑張っても上がお留守になっちゃう訳。
難なく交わした私は、サーシャさんとエストのいる場所に戻った。
とりあえず仕切り直しってことね。
後ろでは羽ばたきの音が聞こえる。
どうやら2人ともペガサスが到着したみたいだし、ここからは個人戦かな。
エストファーネ その2
「サジ、マジ、こうなったら1対1で仕掛けるぞ。」
「俺がティーエさん、サジが左のペガサス、マジが右のペガサスだ。」
「了解!」
ティーエ様が3人のコンビネーションを交わしたのも束の間、
今度は1対1で仕掛けてくるつもりみたい。
当然、私も戦うことになるわけ。
(・・・大丈夫かなぁ。でも、今更逃げられないよね!)
それに、今は相棒のペガサスも一緒。
弱音を吐くくらいなら「当たって砕けろ」よ!
でも、今更だけど私には実戦経験というのがほとんど無い。
間合いの取り方とか、攻撃のコンビネーションなんて解るわけがないわ。
結局、やたらめったに剣を振りまわすしかなかったのよね。
(あれ、変だな?)
自分が弱いことは解ってたから、すぐに倒される覚悟はあった。
でも、マジさんの斧はなぜかかすりもしない。
マジさんが手加減してるのかな?
ううん、それは無いわね。だって、マジさんの息が上がってきてるから。
(そうか! 私が避けてるんじゃなくて、ペガサスが避けてくれてるんだ)
落ちついて見てみれば、私の相棒は凄かった。
ただ避けてるんじゃなくて、私が攻撃しやすい位置に周りこんでくれてるんだもの。
私は相棒が避けた時にすかさず攻撃するだけでよかったわけね。
そして、ついにマジさんの足がもつれて、大きい隙ができた。
チャーンス!
「ぐあっ!」
「ご、ごめんなさい。」
狙ったのはマジさんの持ってる斧だけだったんだけど、勢い余って手も斬れてしまったの。
とっさに謝ったけれど、マジさん痛そう・・・。
武器だけ弾くのって見た目以上に難しいんだなぁ。
でも、これでサジさんはもう戦えないわ。
横を見てみると、サーシャ様もサジさんの斧を弾き飛ばすところだった。
もちろん、サーシャ様は相手を怪我させるなんてヘマはしない。
うーん、流石。私も早くサーシャ様に追いつきたいな。
(あとはティーエ様ね)
後ろを振り返ってみると、まだバーツさんと打ち合ってた。
でも、なんか変だな。ティーエ様、自分から攻撃してないんだもの。
なにか狙ってるのかな?
・・・と思ったら、ティーエ様はいきなり私にウインクを送ってきたの。
何かの合図かしら?
でも、この状況で私に合図することって・・・
(あっ!? ひょっとして!)
私は試しに横にいるサーシャ様に目で確かめてみる。
サーシャ様、解ってると言わんばかりにうなずいた。
うん、こりゃ間違い無い。
ティーエ様、3人で『例の技』を試そうとしてるんだわ。
(でも、我ながらよく解ったなぁ。こういうのを以心伝心っていうのかな)
それじゃあ、ひとつやりますか!
サーシャ その3
(やるじゃないの、エスト)
実は、危なくなったら助けに入ろうと考えていたんだけど、その必要はなかったわね。
もちろん、エスト1人の力じゃなくて相棒の活躍もあるとは思うけど。
さて、ティーエ様の合図もあったし、どうやら『あの技』を試す時が来たみたい。
でも、本当はバーツさんたちの技に対抗してみたいってのがティーエ様の本音じゃないかしら。
自分の相棒に合図をして、バーツさんの右側に回る。
私が右、エストが左、ティーエ様が正面というのが取り決めよ。
エストもちゃんと左側に回っているわ。
そして、ティーエ様がバーツさんと間合いをとった。
ここに来て、バーツさんはようやく自分が3人に囲まれてることに気が付いたみたい。
でも残念、ちょっと遅かったわね。
ティーエ様は素早く後ろに飛んで、一度間合いをとる。
「2人とも、いくわよ!」
「了解!」
「任せてください!」
そのままバーツさんに3人揃って突撃。
タイミングもバッチリ!
エストなんてペガサスの状態で練習してないのに、意外となんとかなるものね。
バーツさん、あせって逃げようとしたけど、逃げ場が無くて困ってる。
おあいにくさま。私たちの場合は2人がペガサスだから、上には逃げられないわ。
「これで終わりです。」
「プリンセス!」
「トライアングル!」
「アターック!」
キィーン
ティーエ様の剣は、バーツさんの斧を勢いよく弾いていた。
やれやれ、これでやっと終わったわ。
バーツさんは気づいてなかったけど、実は私たちの『プリンセストライアングルアタック』って、
攻撃するのはティーエ様だけなの。
私とエストで牽制しておいて、その隙にティーエ様が決めるというのが本当のところ。
エストがもっと強くなれば同時攻撃も可能だろうけど。
いつか、ティーエ様もペガサスに乗って本物の『トライアングルアタック』が出来るとうれしいな。
「おい! こりゃどういうことだ!?」
突然、よく通る声が響き渡った。
あ、兄さんたちが帰ってきたみたい。
ホームズ
「ったく、何だってこんなことになったんだ!?」
今日は朝からリュナンたちと4人で散歩に行っていた。
昨日、街に入った時に見えたんだが、見晴らしの良さそうな丘があったんだ。
最近はサイゾーのこともあって落ちついて話をすることがなかったし、丁度いい機会だった。
会話も弾んで、気分よく返ってきてみればこれだ。
まぁ、バーツは気性も荒っぽいいし、多少暴れていようが不思議は無い。
だが、その相手がティーエってのはさすがに驚いたぜ。
おまけに、2人の1対1じゃなくて、サーシャとエスト、サジとマジまで巻き込んでやがる。
こいつはまず事情をきかないとな。
「とりあえず、何があったのか説明してくれないかな?」
あっ、リュナンの奴、俺のセリフを取りやがった。
チッ、おいしい所を・・・。
-バーツ&ティーエによる事情説明中-
「なるほどな。ま、解らないでもないけどよ。」
「それで、気持ちの整理はついたの? バーツ。」
「ん・・・まぁ大丈夫だろう。あとは時間が解決してくれると思う。」
「そうだな。また新しい宝物を見つけりゃいいさ。」
これでバーツは大丈夫だろう。
さて、他のメンツは・・・。
途中で乱入した4人は、1箇所に集まっている。
どうやらエストが傷の手当てをしているらしい。
エストのことだから、責任を感じてるんだろうな。
しかし、サーシャに手ほどきを受けながらの一生懸命な姿はなかなかほほえましい。
俺は近づいて声を掛けた。
「傷は大丈夫なのか?」
「ええ。しばらく経てば傷も見えなくなると思うわ。」
「そうか。で、お前らは?」
「おあいにくさま。私はケガをするほど弱くないわよ。」
「私も大丈夫です。ペガサスが頑張ってくれましたし。」
「そうか。ま、よかったな。」
それは何気ない一言だったのに、サーシャの奴・・・。
「あらホームズ、心配してくれたの?」
「バ、バカ言え! 誰がお前の心配なんか・・・。」
「ホームズさん、態度がロコツですよ・・・。」
・・・そうさ。本当は心配したよ。
なんだかんだ言っても、やっぱり兄妹なんだからな。
ったく・・・俺も素直じゃないね。
まぁ、これにで大団円。
大事にならなくてなにより。
サイゾー
「それじゃあ、元気でな。縁があったらまた会おう。」
「うむ。ホームズ殿たちの無事を祈っているぞ。」
「じゃ、リュナンも元気でな。」
「うん。またユトナ大陸に着たら是非ラゼリアに寄るといいよ。」
あの騒ぎから数日が経った。
今、私たちはタリス港で別れの挨拶をしている。
エストファーネ殿がユトナ大陸に帰りたいと言った事が始まりで、
なんでも相棒のペガサスが故郷に帰りたがっているらしい。
ちょうどいい機会なので、この際だから一度帰るということで決まった。
ただ、話を聞いていた限りではまだ旅を続けるつもりらしい。タフなメンバーである。
しかし、私はまだこの大陸を去るわけにはいかないので、ここでお別れだ。
それは、この村で暮らすことに決めたバーツ殿も同じこと。
別れの挨拶は意外にあっさりと終わった。
もともと私は知り合って間がないし、バーツ殿は最初からこのつもりだったようだ。
こうして、それぞれは別の道を歩き出す。
日はまだ昇ったばかり。
「よし、行くか!」
気合の一声とともに、私はガルダ港行きの船に乗り込んだ。
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ホームズ率いる『シーライオン』に別れを告げ、一路新しい場所へと向かうサイゾー。
西の地で、思いがけない人物が彼を待つ・・・。
果たしてその人物とは!?
次回、新しい展開がサイゾーを待つ!
『サイゾーVSミネルバ(前編)』に・・・「朝ー、朝だよー。朝ご飯食べて学校行くよー。」(KANONアニメ化記念ということで)
<製作後記>
今更ですが、作中の『真紅の刃をもつ斧』とは『デビルアクス』のこと。(バレバレ?)
ゲームとは大きく違う設定になってますが。(^^;
ちなみに・・・
『DTA』=『デビル・トライアングル・アタッ苦』
『PTA』=『プリンセス・トライアングル・アタック』
やはり「苦」がポイントです。(笑)
ところで、今回は文章の書き方が今までとは大きく違います。
普段はサイゾーの視点のみですが、今回はいろんなキャラの視点で見てみました。
視点はどんどん変わってますが、時間軸は連続として見て下さい。
しかし一人称のようで三人称も混じってる気がします。我ながら情けない・・・。
・・・さすがに疲れました。(爆)
多分、コレは今回限りの書き方になりそうです。
なお、ティーエの性格がゲームと違うことはツッコミ不可。(ぉ