へたれSS_第22回
へっぽこVSシリーズ第22弾「サイゾーVSミネルバ」(前編)
ここは、アカネイア城に最も近い街『ノルダの街』。
アカネイア大陸で最大の闘技場を持つことで有名である。
その闘技場で、2人の人物が対峙していた。
一方は竜騎士。そして、もう一方は風変わりな剣士。
2人はこれから、大陸一の称号を賭けて戦うことになっている。
審判の旗が上がり、勝負が始まる。
「ミネルバ殿、勝負!」
「望むところだ! サイゾー。」
刀と槍が衝突し、激しい金属音が鳴った。
・・・さて、この2人がなぜ戦うことになったのかを、時間をさかのぼって見てみよう。
意外な再会
サイゾーが『シーライオン』の一行と別れてから、ニ月の月日が流れた。
そして今、サイゾーはアカネイア城に最も近い街『ノルダの街』に来ている。
かつて奴隷商人の街として有名だった場所は、今や大陸でも有数の大きさを誇るようになっていた。
2つの戦争によって離れていた住民もほとんどが戻ってきており、以前にも増した活気がある。
サイゾーは現在、サラの予言にあった『仮面の騎士』の情報を集めていた。
しかし、『仮面の騎士』が唯一の手掛かりでは、思うように情報が集まらないのが現状だ。
この街でも有力な情報は聞けず、少し沈んだ面持ちで宿に帰ろうとしていた・・・。
ところがその時、誰かがサイゾーの肩を叩いた。
「よう、兄さん! 久しぶり。」
振り向いた先には、1人の男がいた。
歳は30半ばというところだろうか。
しかし、サイゾーはその人物に話しかけられた理由が解らなかった。
「覚えてないのかい? 1年ほど前に会ったことがあるだろう。」
サイゾーは懸命に記憶を辿っていく。
そして、あるところで閃いた。
「ルテキアの街の!」
「そう、あの時の行商人さ。覚えててくれてたんだな。」
「まさかこんなところで会えるとはな。」
「そいつはお互い様。」
忍のサイゾーと行商人のジェイク、実に意外な再会であった。
でも、読者がジェイクを覚えているかちょっと心配。(^^;
大陸一決定戦
「そうか。シャナン王には無事会えたんだな。そりゃ良かった。」
「ジェイク殿の情報があったからこそだ。感謝する。」
「ハハハ、俺はきっかけを作っただけさ。」
「しかし、この街がジェイク殿の故郷だったとはな。」
「そ。俺の故郷はこの街。もっとも、久しぶりに帰ってきて驚いたけどな。」
「何故だ?」
「そりゃ、俺の知ってる『ノルダの街』に比べて活気がありすぎたからさ。」
「なるほど・・・良かったではないか。」
「そういうこと。」
2人はお互いに軽く笑った。
こういった取り止めのない会話を交わしていたサイゾーだったが、不意に思い出した。
(そうか、行商人のジェイク殿なら何か知っているかもしれんな・・・)
意を決して、話を切り出してみた。
「ところで、話は変わるが・・・」
「ん、なんだい?」
「『仮面の騎士』という言葉に心当たりはないか?」
「『仮面の騎士』ねぇ・・・。」
ジェイクはしばらく黙ったまま考え込んだ。
恐らくは記憶を辿っているのだろう。しかし・・・
「うーん、悪い。ちょっと解らないな。」
「そうか・・・。」
期待していただけに、ちょっと落ちこんだサイゾー。
そんなサイゾーの様子をみて、ジェイクが不意に切り出した。
「そういや、兄さんはまだ修行の旅をしてるのかい?」
「ああ。今でも続けている。」
「だったら、ひとつ耳寄りな情報がある。聞いてみるかい?」
「見返りは?」
「ハハハ、別に大した情報じゃない。タダでいいさ。」
「では、お願いしよう。」
「実は、もうすぐこの街で『大陸一決定戦』ってのがあるんだ。」
「私に参加しないかと?」
「そうさ。けっこう強者が多いし、いい経験になるんじゃないかな。」
「それにもう一つ。今回はマケドニアの王女が参加するという噂がある。」
「マケドニアの王女?」
「ああ。兄さんは知らないか。でも、ミネルバ王女と言えば解るんじゃないか?」
「ミネルバ王女!?」
もちろんサイゾーはその名を知っていた。
アカネイア大陸で起こった2つの戦争を戦い抜いたマケドニアの王女。
そして、アカネイア大陸一の竜騎士と言われている。
「・・・なるほど。参加する価値は十分ありそうだ。」
「だったらこの街の闘技場に行ってみな。まだ参加の受付はやってるはずさ。」
「ありがとう、ジェイク殿。」
「俺も大会には観戦に行くから、当日にまた会えるだろう。じゃあな。」
「では、失礼。」
サイゾーは早足で闘技場へと歩き出した。
2人の王女
街外れの闘技場に着いたのは正午を少し回ったころ。
ジェイクの言った通りまだ大会の受付は終わっていない。
しかし、近くの看板に次のように書いてあった。
大陸一決定戦 参加枠あとわずか 希望者は急ぎましょう
急ぎ足で受付へと向かったサイゾー。
その時、受付の近くで何かを言い争う声が聞こえてきた。
(ん、何事だ?)
声のする方向へ歩いていくと、2人の人物が言い争っていた。
「へへへ・・・おとなしく出すものを出せばケガしないで済むぜ。」
「べーっ。あなたみたいなならず者にあげる物はないよーだ。」
1人は傭兵風の粗末な男。そしてもう1人はシスターの少女だった。
しかし、少女の方はシスターの外見と裏腹に、なかなか気が強い。
「このアマ・・・下手にでてりゃつけ上がりやがって!」
「きゃーっ!」
男が剣を振り下ろす。
が、その剣はあっさりと止められてしまった。
もちろん止めたのはサイゾーの刀だ。
「こんな場所で強盗とはみっともない。」
「な、なんだてめえは!?」
「ただの通りすがりだ。しかし、見逃すわけにはいかないな。」
「うるせえ! 邪魔するな!」
サイゾーに斬りかかるならず者。
しかし、ならず者に遅れをとるようなサイゾーではない。
適当にあしらっていたのだが・・・
「貴様ら、何をしている!」
突然、凛とした声が響いた。
見れば、一人の女性が走り寄ってくるところだった。
「チッ、ここまでか。」
危険を感知したならず者が素早く走り去った。
そして、その場には3人が残る。
「貴様、マリアに何をした!? 返答次第ではこの場で斬ってやる!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。」
剣を抜きながら叫ぶ女性にサイゾーはひるむ。
その時、横から少女が助け舟を出した。
「違うよ、お姉様。この人は私を助けてくれた人。悪いのは逃げた方。」
「ん、そうなのか?」
少女の一言であっさりと剣をしまう女性。
ここまでの行動を見る限り、この2人は姉妹で、姉は妹を溺愛しているらしい。
「悪い、つい取り乱してしまった。すまなかったな。」
「あ、ああ。大丈夫だ。」
落ちついて目の前の女性を見てみれば、かなりの美人だった。
性格が出ているのか、少し顔つきがキツイものの、それを差し引いても十分に美人の部類だろう。
しかし、サイゾーはむしろ別の点にこそ興味が沸いた。
この女性の剣の腕前だ。
先ほどの剣の抜き方や構え方を見ただけでも、侮れない腕前であることがわかる。
そういう意味では、先程剣を交えられなかったのは残念かもしれない。
(おっと、早く受付を済ませなければ・・・)
「では、私はこれにて。」
そのまま受付に向かって歩き出したのだか、それを呼び止める声があった。
「ちょっと待て。お前も大会に参加するのか?」
「ああ、そうだが・・・。」
「そうか。・・・今年の大会は面白そうだな。」
「縁があったらまた会おう。」
意味ありげな台詞を残して姉妹は去っていった。
どうやら、姉妹のうち姉の方は大会に参加するらしい。
そういえば、姉が走ってきたのは受付のある方向だった。
(あの女性と戦うのも面白いかもな。)
そして、受付で意外な事実が判明する・・・。
「では、こちらに名前と参加種目をお願いします。」
大会は少し変わった趣向が取られていた。
まず、参加者は使用武器の異なる4種目から一つを選択する。
それぞれの種目で優勝者を決定し、その4人の優勝者がトーナメントで戦う。
そして、最終的にトーナメントの優勝者が大陸一の称号を手にするというわけだ。
なお、4つの種目とは剣,槍,弓,魔法の4つである。
もちろんサイゾーは剣に参加する予定だ。
そして、差し出された紙に名前を書き込もうとして・・・手が止まった。
差し出された紙には、受付を済ませた参加者の名前と参加種目が書いてあったのだが、
一つ上にはこう書かれていたのである。
名前 ミネルバ 参加種目 槍
(まさか・・・先程の女性が!?)
しかし、状況を考えると、そうとしか考えられない。
女性が走ってきたタイミングや、剣の腕前もそうだが、さらに決定的な理由があることに気がついた。
マケドニアの第2王女の名は、マリアと言うのである。
参加者たち
アカネイア城の一室で、2人の男女が話をしている。
「本気で参加するつもりか、リンダ?」
「そうよ。久しぶりに暴れたくなっちゃった。」
「お前なぁ・・・。そんな理由で大会に参加するなよな。」
「あなたも似たようなものでしょ? ジョルジュ。」
「・・・やれやれ。決勝で当たっても手加減しねえぞ。」
「もちろん。こっちもそのつもりだから。」
街の一角にある民家で、恋人が話している。
男性の方は、話をしながら熱心に剣を振っていた。
「ラディ、そろそろ終わりにしたらどう?」
「いや。もう少しやらせてくれ。」
「まったく・・・急に大会に出るなんて言い出して。」
「悪い。シーザーが参加すると聞いたら昔の血が騒ぎだしてな・・・。」
「一度剣を捨ててから随分長いんだから、無理しないでね。」
「・・・本当は、もう剣を持ってほしくないんだから。」
「・・・ああ、解ってるさ。大会が終われば、今度こそ剣を捨てる。」
サイゾーとは別の宿で、2人の王女が話し合っている。
「この街の治安は回復したと言っていたが、まだまだだな。」
「でも、今は時期的にしょうがないんじゃ?」
「かもな。まぁ、面白い男にも会えたから、悪いことばかりではないが。」
「あの人、そんなに強い? お姉様の方が絶対に強いと思うけどなぁ。」
「マリアにはちょっと難しいか。同類だから解ることもあるということだ。」
「ふーん。でも、今年の優勝はお姉様で決まりよね!」
「そう簡単にはいかない。それが勝負というものだからな。」
そして、サイゾーとミロアもまた、宿屋で会話していた。
「そうですか。面白い大会になりそうですね。」
「ああ。最近は少し修行不足の感があったから、しばらくは修行に励まなければな。」
「・・・『仮面の騎士』の情報はどうでしたか?」
「また空振りだ。まぁ、気長にやるしかないな。」
「そうですか。残念ですね・・・。」
「さすがに手掛かりが少なすぎるのだろう。」
そして、サイゾーは眠りに落ちた。
だが、眠りに落ちた時、ミロアの不思議な声を聞いたような気がした・・・。
「もし、あなたが真実を追い求めるならば・・・。」
「あの王女に聞きなさい。そうすれば、道は開けるでしょう。」
参加者たちは、それぞれの想いを胸に大会に参加する決意を固める。
大会まで、あと数日のことだった。
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ジェイクとの再会から、大陸一決定戦に出場することになったサイゾー。
ミネルバ王女との出会いが、サイゾーに新たな道を示す。(かな?)
そして、大会ではまだ見ぬ強者がサイゾーを待ちうける!?
次回、サイゾーと対決するのは果たして・・・。
『サイゾーVSミネルバ(中編)』に・・・「マグラ神のお告げです〜。」(久しぶりに超マニアックネタ)
<製作後記>
えー、最初に言っておくと、今回もリクエストキャラを埋めるのがメインです。(爆)
というか、今回で埋めないと、次回から既にストーリーが固まっているので・・・。
ストーリーは多分あまり進まないでしょうね。(^^;
相変わらずラストに無理矢理ストーリーを入れてるのも問題だなぁ。(自爆)
それはさておき・・・。
次回から対決していくわけですが、既に誰が残るかが決まっちゃってるので、
その辺を了解して読んでください。(^^;
それでは最後に一言・・・。
ビバ! マグラ神。
意味不明で終わる。(ぉ